犬のしっぽと耳に関する問題
犬のしっぽの短さや耳の形を見て、「これは生まれつきだ」と思い込んでいる方は多いのではないでしょう。しかし、最近行われた調査では、実は多くの犬が「断尾」や「断耳」と呼ばれる手技によってその形を保たれていることが明らかになりました。この手技について、獣医師の間では賛否が分かれていますが、約7割が懸念を示しています。その理由や現状について詳しく掘り下げてみましょう。
1. 断尾と断耳とは?
「
断尾(だんび)」とは、犬のしっぽを外科的に短くする手技で、通常は生後数日以内の子犬に施されます。この処置の歴史は古く、紀元前から行われていたとされています。一方、「
断耳(だんじ)」は、犬の耳を整えるための手技で、主に耳を立たせることを目的に使用されます。これも生後早い段階で行われることが多いです。
かつては、作業犬や狩猟犬としての機能を果たすために行われていましたが、現代では見た目のために行われるケースが圧倒的に多くなっています。
2. 獣医師たちの意見と健康リスク
最近、ブリーダー専門のマッチングサイトを運営する株式会社ペトリコウェルが実施した調査では、実に不安な結果が浮き彫りになっています。獣医師に対するアンケートから得た結果では、約72%の獣医師が断尾や断耳に
反対またはどちらかといえば反対と回答しました。その理由として挙げられているのが、
- - 切断時の痛みや慢性的な痛み。
- - 術後ケアが不十分で感染症や皮膚トラブルのリスクが高まること。
- - 知覚神経の損傷による筋力低下。
- - コミュニケーション手段としての尾や耳の機能低下によるストレス。
これらの問題から、多くの獣医師がこの処置を行うことに懸念を抱いています。
3. 社会と法規制のギャップ
世界的には、外国の多くの国(特にヨーロッパ)で、断尾や断耳は動物福祉に反すると見なされ、法的に禁止される方向に進んでいます。しかし、日本では明確な禁止規定がないため、この処置が続けられています。ペットショップでは、断尾や断耳が施された犬が「完成形」として流通している背景には、見た目を重視した消費者のニーズもあることが影響しています。
4. 一般飼い主の意識
Breeder FamiliesのSNSでは、断尾や断耳の存在を知り驚く声や、不安や後悔を感じる飼い主のコメントが多数寄せられています。多くの人が自分の愛犬が痛みを伴った施術を受けていることを知らなかったのです。
「これまで普通だと思っていたが、実は切り取られていたのか」といったショックや、「もっと早く知りたかった」という後悔も多く見受けられます。情報の非対称性が、いかに大きな影響を与えているのかを改めて考えさせられます。
5. 未来への希望
現場で活躍する獣医師たちの声を参考に、社会全体で断尾や断耳について再考する時期に来ていると言えます。この手技が持つ痛みや健康への影響を無視せず、愛犬家としての責任を果たしていくために、積極的に正しい情報を吸収することが必要です。また、
Breeder Familiesのようなアニマルウェルフェアに配慮した取り組みが広がることで、今後のペット業界の健全化にもつながっていくでしょう。
私たちが愛する犬たちが、痛みや不安から解放され、もっと幸せに過ごせる未来を築いていくために、声を上げていくことから始めましょう。