AIを活用した生産計画の最適化、平松食品が新たな一歩を踏み出す

AI生産計画の最適化で業務を革新

名古屋大学発のAIベンチャー、トライエッティングは、愛知県豊川市に本社を持つ平松食品と共に、生産計画の最適化に向けた共同実証実験をスタートしました。この取り組みは、ノーコードAIプラットフォーム「UMWELT（ウムベルト）」を使用し、複雑化した生産計画業務の効率化を目指します。

平松食品の生産計画の現状

平松食品は、つくだ煮や魚介類の製造・販売を行う企業であり、年間数回、大規模な需要予測を実施してきました。これらの過程は、月間および週ごとに生産計画を更新することが求められ、品番や取引先が多いため、業務は非常に複雑です。特に新商品や季節限定商品などを取り入れることで、生産計画は属人化しやすく、その影響が従業員の業務負担や残業の増加を引き起こしています。特につくだ煮の製造には3日間が必要であり、計画の変更は生産効率の低下を招いていました。

課題と解決策

生産現場の従業員すべてに影響を及ぼす生産計画は、急な顧客の注文に対して融通を利かせにくい状況でした。加えて、最近の人件費や原材料費、物流費の高騰も循環業務における大きな課題となっていました。これを解決するために、平松食品はAIを用いた需要予測の導入を決定。トライエッティングとの出会いは、MUFGが主催するスタートアップと企業のマッチングイベントから生じました。

実証実験の概要

今回の実証実験において、約600品番と1000の取引先に対し、UMWELTのアルゴリズムを活用して予測精度を検証します。この結果を基に、生産計画や在庫管理の最適化を図り、業務全体の効率性の向上と属人化の克服を目指します。

平松食品の取締役、平松大地氏はこの実証実験を通じて、複数の担当者が協力して生産計画を立てることができる仕組みづくりが進んでいると語ります。適正な在庫把握が実現すれば、急な出荷依頼への対応も容易になり、お客様の満足度につながるとの期待を寄せています。また、無駄な残業を排除し、効率的な生産体制の構築により、社内の従業員の満足度も向上させる狙いです。

UMWELTの特徴

UMWELTは、機械学習による需要予測やシフト作成といった機能を備え、プログラムを使用せずとも運用が可能なノーコード予測AIプラットフォームです。具体的には、以下の3つの機能を提供しています：

1. AIモデリングと解析 : 機械学習や需要予測などの計算が行えます。
2. データの前処理 : 必要なデータの整理を自動化します。
3. 実装とシステム結合 : 現場で使っているExcelなどのファイルと解析結果をスムーズに統合します。