中堅社員の成長実感とそのカギ:調査から見えた現実
2024年12月に実施された調査では、中堅社員800人が対象となり、彼らの成長実感について分析が行われました。調査 を行ったのは、組織開発や人材育成を手掛けるALL DIFFERENT株式会社と、ラーニングイノベーション総合研究所です。ここでは、調査結果の概要を元に中堅社員における成長実感の実態を探っていきます。
ミドルキャリアの背景
中堅社員は通常、社会人5年目以降で、役職にはついていないものの、ライフステージの変化に伴って、仕事への向き合い方が多様化してきています。厚生労働省のデータによれば、30歳前後の転職者の割合が高まっていることからも、ミドルキャリアの雇用環境が不安定であることが伺えます。しかし、その成長実感や働きがいについて十分に理解されていないのが現状です。
成長を実感する瞬間
調査結果から見えてきたのは、ミドルキャリアの約50%が日常業務において成長を実感しているということです。具体的に成長を感じる瞬間として、「仕事を完遂」した際が42.3%と最も多く、「目標を達成」した時が31.4%となっており、業務をやり切ることが成長感の源であることが明らかでした。
一方で、難易度の高い業務を経験する頻度が成長実感に寄与していることも分かりました。特に、難しい仕事を頻繁に経験している人ほど、「成長を感じる」と回答する割合が高いとのこと。これらのデータは、業務の質が成長に直結していることを示唆しています。
社会人8年目の変化
社会人5年目から7年目にかけては成長実感が増加する傾向にありましたが、8年目に入ると一転して「成長を実感しない」と感じる人が増え、ターニングポイントが存在することが見て取れます。このことから、キャリア形成の早い段階における支援がその後の成長に大きく影響することが分かります。
成長に役立った環境要因
また、ミドルキャリアの成長に寄与した要因として最も多く挙げられたのは「職場の雰囲気・文化」で29.1%、次いで「上司からのサポート」が20.4%とされ、社内環境や人間関係が成長に重要であることが確かめられました。企業はこのような環境を整えることが重要でしょう。
ストレッチアサインメントの推奨
これらの調査結果を受けて、「ストレッチアサインメント」、つまり、現在の能力を超える仕事を割り当てることが成長感を高めるカギであると考えられます。中堅社員に高い難度の業務を任せることで、成長を促進することが期待されるため、企業としても積極的に取り組むべきです。
ストレッチアサインメントの実践方法
1.
定期的な業務の洗い出し - 現在の業務とその難易度をチェックし、ストレッチな仕事を抽出する。
2.
キャリア志向の明確化 - 中堅社員の目指す方向性と企業の期待に基づいて業務を割り当てる。
3.
業務選定 - 難しい仕事を選定し、より挑戦を促す。
4.
必要な支援の提示 - 業務遂行にあたって必要な支援内容を明示しておく。
5.
意図を伝える - 任務を託す際、成長を期待している意図をしっかりと伝える。
6.
不定期なフォローアップ - 任せた後も進捗を確認し、必要なサポートを続けることが重要です。
まとめ
中堅社員の成長実感は「仕事を完遂したとき」に高まることがわかりました。また、難易度の高い業務経験が成長実感に関与しているため、企業はこれを踏まえた人材育成に取り組む必要があります。特に社会人8年目においては、企業の支援体制が成長を左右する重要な局面となることが示唆されました。これからの時代、ミドルキャリアの持つポテンシャルを最大限に引き出すための対策が求められています。