クレスコが提供する新たなAIレビュー機能「OmniReview」とは
株式会社クレスコがこのたび、同社のソフトウェア品質向上ソリューション「Trust Code Hub」に多視点AIレビュー機能「OmniReview」を新たに追加しました。この新機能により、これまでのソースコードの品質や脆弱性解析に加え、要件定義書や基本設計書といった上流工程の成果物レビューも対象となり、ソフトウェアの品質改善と生産性の向上が期待されています。
上流工程の課題
システム開発における問題の多くは上流工程に起因しています。日本情報システム・ユーザー協会による調査によれば、開発工期の遅延の50%以上が要件定義工程に関連しているという結果が出ています。特に「要求仕様の不備」が最も多い極めて重要な課題です。これは、上流工程での見落としが下流工程で致命的な手戻りを引き起こすためです。
生成AIによって開発がスピードアップする中でも、レビューの速度や精度が変わらなければ、品質確認がボトルネックになってしまいます。残念ながら、理想的なレビュー体制の確立は容易ではなく、専門家たちは多忙であるため、全員のスケジュールを揃えることが難しいのが現実です。さらに、レビュアーが自分の専門領域に偏るため、全体を見た観点が抜け落ちがちです。
「OmniReview」の特徴
新たに追加された「OmniReview」は、入力された文書を解析し、必要なレビュー観点や専門家のロールを自動で設計します。これにより、複数のAIエージェントが多角的に文書をレビューし、品質の一定水準の確保を実現します。以下にその主な特徴を挙げます。
- - レビュー体制の自動編成: 文書を解析し、必要なレビューロールを自動で生成。品質管理や法務、セキュリティ、UXなどの観点が含まれます。
- - 多視点な並列レビュー: 複数のロールが並列で文書をレビューし、重複を除いた指摘を統合します。重要度を評価することによって、修正の優先順位を明確にできます。
- - 組織固有の観点の蓄積: 社内の基準や規約、チェックリストを参照し、カスタムレビュアーとして保存することが可能。このことで、個人の経験が組織の資産へと変わります。
- - 多様な文書形式に対応: PDFやDOCX、PPTX、XLSX形式に対応。要件定義書や設計書だけでなく、取扱説明書や論文もレビュー対象となります。
- - 最終判断は人間が行う: 「OmniReview」で提起された指摘の有効性や最終品質の判断は、最終的にユーザーが行います。
具体的な提供内容
「OmniReview」は、「Trust Code Hub」の構成機能のひとつとして提供されます。「Trust Code Hub」は、AIの答えに「品質」という基準を掲げており、コードの品質やセキュリティを一貫した基準で評価します。ツールを提供するだけでなく、開発ルールの分析や運用の定着に至るまで、包括的なサービスが展開されます。具体的には、以下のようなサービスが提供されます。
- - コンサルティング: 開発ルールの分析と最適な開発プロセスの提案。
- - バリュー検証: 導入効果を測定し、レポートとして報告。
- - 環境構築: 品質を継続的に管理する仕組みを導入。
- - 運用支援: 解析結果に基づいた継続的な改善支援。
今後の展望
「OmniReview」の提供は、2026年8月から社内でスタートし、顧客への提供は2026年度下期を見込んでいます。クレスコは、「Trust Code Hub」を成長の柱と位置付けており、2023年度には連結売上高1,000億円を目指しています。また、レビュー対象とする文書の種類やカスタムレビュアーの範囲、既存の開発プロセスへの組み込み方を個別に設定するなど、柔軟な対応を行っていきます。
このように、クレスコの新機能「OmniReview」は、ソフトウェア開発の品質向上に向けたいわば新しい道筋を示すものであり、今後の展開が楽しみです。