はじめに
企業が直面しているデジタルリスク、特にフィッシング詐欺や情報漏洩は、実際にどのように対処されているのでしょうか。この問題に対しての認識や実際の被害状況、そして取り組みを明らかにするため、インフォシールド合同会社が行った調査の結果をご紹介します。
調査の背景
インフォシールドは、情報システム、広報、法務、CS部門の担当者を対象に、デジタルリスクに関する意識調査を実施しました。対象となったのは2025年6月に実施されたもので、1,039人の回答を集めました。
この調査は、企業が直面するデジタルリスクの実態や各企業が抱える脅威への意識を探る試みとして重要です。デジタル空間では、ブランドへのなりすましやフィッシングサイトの問題が深刻化しており、企業活動に影響を及ぼしかねません。
危機感の実態
調査結果により、約9割の従業員がデジタルリスクに対して「非常に強い」または「ある程度の」危機感を持っていることが明らかになりました。特にフィッシングサイトや偽ドメイン、SNS上のなりすましアカウントなど、外部からの攻撃に対する警戒感が強いようです。これにより、多くの企業が日常的に持つ危機感は、もはや他人事ではなくなっています。
実際、従業員の56.5%が自社がデジタルリスクに関する被害を受けたことがあるとのことで、特にSNS上でのなりすましが多く見受けられました。このような被害の報告が多数あることからも、ますますデジタルセキュリティの重要性が浮き彫りになっています。
現在の対策状況
デジタルリスクに対する対策を実施している企業の割合は高いですが、被害を受けた経験がない企業では、対策を講じていない割合が高いことも見逃せません。調査によると、被害経験者の95.4%が何らかの対策を講じており、主な対策は社内ネットワークのセキュリティやフィッシング対策に集中しています。
対策を取らない理由としては、自社のデジタルリスクを把握できていないことが最も多く挙げられており、これは多くの企業が直面する課題です。
デジタルリスクの影響
デジタルリスクによる被害が発生することで、最も深刻な影響として指摘されているのは「顧客からの信頼低下」です。さらに、企業イメージや業務の混乱も背景にあるため、リスク管理は単なる安全策ではなく、ブランドや信用を維持するための重要な施策とも言えます。
今後の展望
このような状況を踏まえ、企業におけるデジタルリスク対策は、難しい課題となっているものの、約9割の企業がその対策に対する必要性を感じています。特に、技術的な対策だけではなく、広報や法務とも連携した横断的なアプローチが求められています。
近年注目が集まるDigital Risk Protection(DRP)サービスは、企業のブランドを守るうえでの非常に重要な手段です。これにより、早期に外部脅威を発見し、未然に防ぐ体制を強化することが求められています。
まとめ
企業のデジタルリスクへの意識は高まり、多くの企業が対策を講じていますが、実際の対策の内容や効果についてはばらつきがあります。今後は、正確なリスクの把握と、より効果的な対策の実施が大切です。デジタルリスクは企業経営に直結する重要な課題であり、積極的に対策を講じることが求められています。