日本酒の新境地!食用米から生まれた純米大吟醸の挑戦
テレビやラジオ番組に取り上げられ、今注目を集めているのが、愛知県愛西市の渡辺酒造が手掛ける純米大吟醸『弥栄の酒 寿(いやさかのさけ ことぶき)』です。こちらは、通常の日本酒の製造とは一線を画し、食用米である「にこまる」を用いて、40%の精米歩合で生まれた日本酒です。ラジオ番組「北野誠のズバリ」では、出演者から「香りがびっくりするほどフルーティー」「白ワインに近い」「爽やかで飲みやすい」といった嬉しい声が寄せられ、その驚異的な味わいが広がっています。
161年の伝統と共生型経営
渡辺酒造は1865年に創業、今や161年以上の歴史を誇ります。この長い歴史の中で、渡辺酒造は日本酒の製造だけでなく、米作りにも深く関与することが日本酒文化の未来に資すると考えてきました。日本酒は米から生まれるため、酒造りに取り組む際には、米作りの現状や未来も視野に入れる必要があります。
現在の日本の農業は、異常気象、農家の高齢化、肥料や資材の高騰など、多くの課題に直面しています。渡辺酒造の代表取締役・山田栄治氏は、この現実と真剣に向き合い、「なぜ専用の酒米が必要なのか?」と疑問を抱くようになりました。この問いが、食用米を利用した新たな挑戦へと繋がったのです。
食用米「にこまる」を利用した新たな挑戦
同社が選んだ食用米「にこまる」は、高温耐性と豊かな甘み、炊いた時のもちもちとした食感が特徴です。一般的に食用米は92%の精米歩合で提供されますが、渡辺酒造はその米を驚くべき40%まで磨き上げ、純米大吟醸を誕生させました。この挑戦は非常に珍しく、食用米は通常の酒米よりも粒が小さいため、磨いていく過程で割れやすくなります。これは酒の品質に直接影響を与えるため、精米会社との密な連携や発酵管理が求められます。
約8ヶ月間の試行錯誤の末、完成した『弥栄の酒 寿』は、農家や精米会社、杜氏、すべての人々の技術と想いが融合した結晶です。契約農家からは、自ら育てた米がこんな素晴らしい大吟醸になるとは思っていなかったと驚きの声が寄せられました。
日本酒のイメージを覆す味わい
『弥栄の酒 寿』は、その味の特異性からも多くの注目を集めています。放送で紹介された試飲では、参加者たちがワイングラスでその香りを楽しみ、白ワインに近い爽やかさと、驚くほどのフルーティーさに感動しました。食用米ならではの優しい甘みと、純米大吟醸の澄んだ味わいのコラボレーションは、日本酒に対する新たな視点を提供しています。
農家と酒蔵の共生を目指して
渡辺酒造の目標は、単なる酒の大量生産ではありません。人生の大切な瞬間に「寿で乾杯」と言ってもらえるような特別な存在になること。そして、食用米に新たな価値を加えることで、農家にとって未来の選択肢を広げることです。この取り組みは、農業と酒造りの未来をつなげるモデルとして、地域全体に恩恵をもたらすことが期待されています。
次世代へつなぐ企業の姿勢
渡辺酒造は、今後もこの共生型経営モデルを推進し、食材・酒・消費者の三方が幸せになる仕組みを築いていくと声明しています。161年後、次の世代に何を残すべきかを真剣に考え、農業と日本酒、そして地域文化を広める努力を続けていくでしょう。
美味しい日本酒が、美味しい米から生まれるというシンプルな信念のもと、渡辺酒造の『弥栄の酒 寿』は、日本の豊かな田舎風景と共に、未来への一歩を踏み出しています。