JA豊橋初のAI予測を用いた害虫調査革新
愛知県豊橋市に本拠を置くJA豊橋と株式会社ミライ菜園が、害虫調査における新たな試みを展開しています。全国のJAグループで初めて、ミライ菜園が開発した防除DXアプリ「TENRYO」を活用し、AIによる虫の調査を開始しました。この画期的な取り組みは、農家が直面する経営リスクを軽減するための重要なステップとされています。
TENRYOとはどんなアプリ?
TENRYOは、独自開発されたAIを用いて、病害虫の発生状況を予測するスマートフォン向けアプリです。このアプリを利用することで、農家は適切なタイミングでの防除を行うことが可能になります。すでに実証実験を経て、キャベツやブロッコリー、タマネギなど9種類の作物に対応したデータを蓄積しています。今後も対応作物を増やしていく計画です。
AIによる正確な予測と時間の大幅短縮
従来のフェロモントラップを使った害虫調査は、設置から情報収集、分析まで人の手による作業が必要でした。しかし、TENRYOの活用により、これまで月40時間以上かかっていた作業を約9割削減できる見込みです。この時間の短縮により、農業指導員は対面でのコミュニケーションに重点を置き、農家への訪問を通じたサービス向上が可能になります。
気候変動への対応力を強化
最近では気候変動の影響で害虫の発生パターンが不規則化しています。フェロモントラップを利用する古い調査方法では、発生を確認するまでに約1週間のタイムラグが生じました。これに対し、TENRYOは気象データと発生履歴を組み合わせた分析で、事前に害虫の発生を予測します。これにより、農家は迅速な対応ができ、被害を未然に防ぐことが期待されています。
収量増加の実績
JA豊橋とミライ菜園の共同実証実験では、すでに高精度な病害虫予測が実現されており、キャベツやブロッコリーを栽培する農家では前年比で4%〜15%の収量増が確認されています。TENRYOは全国の気象情報を利用しており、愛知県だけでなく日本全国で使用できるため、さらなる農業の発展が期待されます。
今後の展望
ミライ菜園では、このアプリを全国的に普及させるために、他のJAや地域自治体との連携を強化する方針です。また、個人農家向けの新バージョンも開発中であり、今後アプリストアで公開される予定です。JA豊橋とミライ菜園の連携は、農業界に新しい風を吹き込むことでしょう。
まとめ
JA豊橋が全農業指導員にTENRYOを導入することで、農業の効率化と生産性向上が期待されています。この取り組みを通じて、愛知県の農業が新たなステージに上がることを願っています。今後も進展に注目していきたいところです。