中高年社員の活躍促進へ、企業の支援体制を見直そう
昨今、キャリア支援が重要視される中で、特に中高年層の活躍を支援する取り組みが求められています。ニューホライズンコレクティブ合同会社による調査は、中高年(40歳以上)の社員が直面するキャリア上の課題や企業の支援の実態を浮き彫りにしました。
1. 調査概要
調査対象は40歳から65歳までの中高年層と人事担当者・経営者であり、「中高年の社外交流とキャリア意識」に関する結果が得られました。調査結果によると、約60%の中高年社員が「社外交流が減少している」と感じており、その多くが新たな視点を得るために社外交流が必要だと答えています。
■ 調査の主な結果:
- - 社外交流の減少を感じる中高年は約6割
- - 社外交流での経験が自己成長につながるとの声が多い
- - 企業の約70%がキャリアサポートは若手を優先
企業側が「中高年キャリア支援を進めている」と回答する一方、中高年社員の半数以上が「満足していない」と感じており、支援における乖離が存在することが示されました。
2. ギャップの原因
企業側と中高年社員の間で感じているキャリアサポートに関する満足度の差には、主に以下の要因が挙げられます。
1.
支援の内容に関する明確性: 企業が希望する支援内容と、中高年が実際に求めている内容が異なる。
2.
相談機会の不足: 社外交流や新たな機会が限られていることが問題視されている。
3.
支援体制の不統一: 社内のキャリア支援に関するノウハウやリソース不足が影響している。
3. 企業の対応と求められる変化
企業の約7割が若手支援を優先している現状は、中高年層への支援が後回しにされがちという実態を反映しています。これは、企業が中高年層を支援する意義を十分に理解していないことに起因している可能性があります。企業側は「中高年層が意欲を持っている」ことを認識しつつも、具体的な支援が不十分なため、期待に応えられていない状況です。
4. 支援の方向性
中高年社員のキャリアにおいては、自己成長や新たな挑戦の機会が求められています。「越境キャリアドック」のようなキャリアサポートプログラムを通じて、自身のスキルや経験を活かし、活躍の場を広げることが重要です。キャリアサポートにおいては、制度整備だけでなく、積極的な利用を促すための環境づくりや支援の「見える化」が求められています。
5. まとめ
今回の調査からは、中高年社員のキャリア支援において企業と社員の間に明確な期待のズレがあり、今後の企業の支援体制の見直しが急務であることが示されました。中高年のキャリア支援は、企業全体の人的資本戦略の中核を担うテーマであり、今後は支援の再設計に向けて一歩踏み出すことが求められます。
このような状況を踏まえ、中高年社員が中心となって、自己のキャリアを描く支援の新たなアプローチが期待されます。