名古屋市がFinOpsを活用してAWSコスト削減に成功
名古屋市は、株式会社メタップスホールディングスが提供するコスト管理ツール「srest」を導入し、AWSコストの効果的な管理を実現しました。2025年9月24日から公開されるこの事例は、全国の自治体におけるクラウド環境でのコスト最適化のモデルケースとして注目されています。
導入の背景
名古屋市は2022年に制定した「名古屋市役所DX推進方針」に沿って、AWSを基盤としたガバメントクラウド環境への移行を進めています。この進取の気性に満ちた取り組みの一環として、独立したAWSアカウントで運用する「単独利用方式」を採用し、フレキシブルな運用と強力なガバナンスを実現しています。しかし、複数アカウントに分散しているコストに関する把握や、経費の按分、帳票作成の効率化には課題が残っていました。
そんな中、名古屋市は2025年3月に全国初の試みとして、ガバメントクラウド環境でのFinOpsの実践を目指し、「srest」による実証実験を実施しました。実験の結果、複数のアカウントからの請求情報を自動で収集し、可視化するシステムの有効性が認められ、同年6月には正式導入が決定しました。
導入による効果
1. 直感的なUI/UX
「srest」は、カーソルを合わせるだけで内訳がポップアップ表示されるなど、非常に直感的な操作性を誇ります。これにより、AWSに詳しくない自治体職員も自身のシステムのコスト構造を容易に理解することが可能になりました。マニュアルなしでも使える設計が評価されています。
2. 請求業務の効率化
導入前は、PDFの請求データをExcelに手作業で集約し、月ごとに費用を按分していました。しかし、「srest」のコストアロケーション機能により、よりシステム状況に合わせた効率的な費用按分が実現され、作業工数が大幅に削減されました。また、各担当課が自らのコストを把握し、説明する体制も整い、説明責任と当事者意識の醸成にも寄与しています。
3. コスト構造の可視化
各業務システムごとのコスト構造が明確になることで、サーバー料金に対する監視サービス料金の高騰に早期に気づくことができ、無駄な支出を抑えることに成功しました。これにより、コスト削減のみならず、より効率的なリソースの配分が実現しています。
「srest」とは
「srest」は、クラウドコスト管理を効率化し、FinOpsを支援するAWSコスト管理ツールです。このツールは、複数のAWSアカウントのコストデータを一元管理することで、企業全体のクラウドコストの透明性を高め、意思決定の精度を向上させます。また、AWSが実施する技術レビュー「AWS Foundational Technical Review」を通過した信頼性の高い製品です。
このように名古屋市の先駆的な取り組みは、全国の自治体にとってのコスト最適化のモデルケースとなることが期待され、他の地域でも同様の導入が進むことが期待されます。最先端のFinOpsの実践を通じて、より効率的な財政運営が求められる中、この取り組みは大いに注目されるでしょう。
興味がある方は、導入事例の詳細を以下のリンクからご覧いただけます。
導入事例:名古屋市
メタップスホールディングス プレスリリース
この成功事例が、全国の自治体におけるFinOpsの推進とコスト管理の効率化の一助となることを願っています。