愛知・知立市で始まるAIを利用した契約業務効率化の実証実験
愛知県知立市が株式会社DIVXとタッグを組み、契約業務に特化したAIの実証実験がスタートしました。これは2025年12月1日から開始され、行政手続きの効率化を狙っています。契約関連文書が点在する中、AIが迅速に正確な情報を提供できるかどうかを検証します。
背景としての現状
知立市では、契約事務に関する問い合わせが全庁から集中しており、これが特に契約担当部署にとって大きな負担となっています。市が抱える約250ファイルにも及ぶ契約関連の文書は、法令や規則に基づいて運用されており、職員が新しい部署に配属される度に、これらの情報を収集しなければなりません。特に人事異動が頻繁に行われる昨今、時間を要する文書検索や問い合わせが職員の効率を下げる一因となっています。
実証実験の具体的な内容
この実験では、知立市が所有する契約に関する庁内ルール文書をもとに、AIが必要な情報を正確に引き出せるかを検証します。コアユーザーとして契約業務を頻繁に行う30〜40名の職員が対象となり、最大で約224名の職員がAIによる支援を受けることができる見込みです。
導入される技術
本実証実験においては、DIVXが開発した「GAIエンジン」とRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術が用いられます。これにより、契約業務に必要な文書を迅速に検索し、高度な質問に対しても即時に回答できる体制を整えます。新たに構築されたRAGシステムは、行政文書特有の表現にも対応するよう最適化されています。
期待される効果
この取り組みの成果として、以下のような効果が見込まれています。
- - 業務効率化: 問い合わせの待ち時間が短縮され、職員が迅速にルールを確認できるようになります。
- - 文書検索時間の短縮: 横断検索が自動化されることで、検索に要する時間が大幅に減少します。
- - 専門部署の負担軽減: 集中して寄せられる問い合わせが軽減され、契約担当部署の業務負担も軽くなります。
- - セキュアな環境の整備: 行政文書を安全に扱えるAI環境が整備され、安心して技術を活用できます。
今後の展望
この実証実験で得られた知見は、DIVXが提供する自治体向けAIサービスの向上にも役立てられる予定です。知立市では令和7年度内に本格的なAIサービス導入を計画しており、今後のデータ取得を通じて実施の可否を検討します。
知立市の企画政策課長である伊藤慎治氏は、「AIの導入を通じて、職員が本来行うべき市民サービスの向上に向け、業務改善を目指していく」と語っています。これにより、全庁的な業務効率が向上し、職員の負担軽減が実現されることが期待されます。
株式会社DIVXについて
DIVXは2021年に設立された企業で、AI技術を駆使したソフトウェア開発とソリューションの提供を行っています。同社は、デジタルトランスフォーメーションを推進し、地方自治体の課題解決に寄与することを目指しています。
公式サイト:
DIVX