キシリクリスタルがもたらす口腔内健康の新提案

春日井製菓株式会社は、口腔内の健康について新たな可能性を提示しました。最近、同社が行った研究に基づくヒト臨床試験で、キシリクリスタルが口腔内の潤いに関与し、唾液分泌を促進する効果が確認されたのです。この試験の結果は、国際科学情報誌「Health」にも掲載され、高齢者を中心に多くの人々にとって大いに関心を集めています。

口腔乾燥症とは？

高齢化社会において、多くの人々が悩まされる「口腔乾燥症（ドライマウス）」は、唾液の分泌が減少し、口内が乾燥してしまう疾患です。日本では、推定3000万人がこの症状に悩んでいるとされています。このような患者にとって、唾液の分泌を促すことは、口内の健康維持において極めて重要です。

キシリクリスタルの臨床試験

研究は、朝日大学歯学部の渡部茂教授との共同で実施され、15名の健康な成人を対象に行われました。キシリクリスタルを使用することで、唾液分泌が安静時の約7.8倍に増加し、口内の細菌数は有意に減少したことが報告されています。具体的には、キシリクリスタルを一つなめることで、細菌数が約65％も減少し、二つなめることで約49％にまで達しました。

研究の背景

これまで、唾液分泌を促進する方法としてガムが広く用いられてきましたが、キャンディの効果についてはあまり研究が進んでいませんでした。そのため、春日井製菓では、口腔内の乾燥に悩む高齢者のために、キシリクリスタルがどのように役立つかを明らかにするべく本研究を実施したのです。

研究方法

研究では、被験者に対して安静時の唾液分泌速度やpH、舌上の細菌数を測定した後、キシリクリスタルを口に含むことにより、唾液の分泌量や細菌数の変化を観察しました。

研究結果からの示唆

キシリクリスタルをなめることで唾液分泌が促進されるだけでなく、口腔内の細菌数も減少することが明らかになりました。このことから、食事以外の時間にキシリクリスタルを摂取することで、口腔環境の悪化を防ぐ効果が期待されます。また、キャンディの新たな役割として、口腔乾燥症に対する有効な対策となる可能性を示唆しています。

今後の展望

今後、キシリクリスタルには唾液分泌をさらに促進する成分を追加することで、さらなる効果が期待できるでしょう。口腔内の健康を維持するために、リラックス効果とともにキシリクリスタルを取り入れることが、高齢者の生活の質を向上させる新しい方法となるかもしれません。

研究を支える専門家

本研究を指導した渡部茂教授は、唾液に関する専門的な知見を持ち、国内外での研究経験も豊富です。彼の指導のもと、高齢者の口腔環境の維持に向けた重要なデータが得られ、その意義は大きいといえるでしょう。

このように、キシリクリスタルがもたらす新たな健康の提案は、特に高齢者にとって、日々の口腔ケアにおいて欠かせない存在になるかもしれません。今後もこの分野での研究が待たれます。