新たなスタートアップ、ULTEC社の誕生
愛知県名古屋市に、新しい半導体技術の起業家精神を注ぐスタートアップ、ULTEC株式会社が誕生しました。この企業は、旭化成発のスピンアウトベンチャーとして、ウルトラワイドギャップ半導体技術に焦点を当てています。
ウルトラワイドギャップ半導体の新たな挑戦
ULTEC社は、窒化アルミニウム(AlN)を利用した先進的な技術を基盤に、深紫外線レーザーダイオード(UV-C LD)や遠紫外線LED、高耐圧パワーデバイスなどの開発を進めています。この技術は、今年の6月に世界的に権威のある『ベルソルト・ライビンガー・イノベーション賞』で第3位を受賞するなど、その可能性が広く認められています。
技術の進化と実用化への道
ULTECは、元々は旭化成の研究・開発本部と名古屋大学との共同研究から成長しました。2017年から始まった協力は、2019年には世界で初めて室温においてパルス発振を実現し、2022年には連続発振にも成功しました。これにより、UV-C LD技術は医療や環境関連の用途で大きな期待を寄せられています。しかし、未だ確立していない市場での挑戦でもあり、新たな展望を見出す必要があります。
ULTEC設立に向けた背景
このような先進的なテーマの商業化に向け、従来のビジネスモデルにこだわらず、愛知県に新設されたULTECはスピンアウト方式で設立されました。旭化成が持つ技術のライセンスを活用することで、若いスタートアップでは迅速な意思決定を実現しつつ、名古屋大学の研究設備や外部リソースを生かして、ファブレス・アセットライトなビジネスモデルを確立することが目的です。
先進技術の社会実装を目指す
ULTECのCEO、吉川陽氏は「深紫外レーザーダイオードは長年“できない”とされてきた分野であり、今回の技術を社会に実装できることを大変嬉しく思っています」と語っています。この技術の商業化が実現できれば、工業、医療、環境といった広範な分野で新たな価値を生むことが期待されています。
旭化成の取り組みと未来
旭化成の研究・開発本部長、松崎修氏は、「従来の製品や事業の枠を超え、新しい価値創出に取り組んでいます。ULTECの設立はその象徴的なプロジェクトであり、今後もオープンイノベーションを推進していく」との声明を発表しています。これにより、先進技術を通じて持続可能な社会の実現に向けた新たな道が開かれることが期待されます。
新しい可能性を秘めたULTEC社
ULTEC社の設立は、ただのビジネスの始まりではありません。その背後には、世界を変える可能性を秘めた先進技術があります。名古屋から発信される新たな挑戦に、どのような未来が待ち受けているのか、今後の展開から目が離せません。