愛知発、新しい交通サービス「my route」が目指す未来の移動体験とは

トヨタファイナンシャルサービスが提供するMaaSアプリ「my route」は、愛知県名古屋市を拠点に、地域交通のデジタル化に貢献する新たなプロジェクトを開始しました。このプロジェクトには、国土交通省の「交通空白」解消に向けた取り組みとして注目される「二次元バーコードチケッティングAPI標準化プロジェクト」が含まれています。2025年の実証実験に向けて、熊本県での取り組みが予定されています。これにより、交通機関と商業地域の連携をはかり、便利で効率的な移動の仕組みを目指します。

プロジェクトの背景と目的

近年、公共交通のデジタル化は進んでいますが、事業者ごとに異なるチケット仕様や、乗り換えの際に異なるチケットを使わなければならないという問題が残っています。これが、利用者にとっての「見えない不便」となっており、よりスムーズな移動を求める声が高まっています。TFSや日本信号、レシップは、この課題を解決するため、共通の仕様を策定し、シームレスな移動体験を提供することを目指しています。

今回の実証実験では、QRコードを用いたデジタルチケットを活用し、異なる交通事業者やサービスを横断して利用できる環境を構築することが目標です。具体的には、鉄道やバス、商店のサービスを1枚のQRコードでつなぐことで、利用者にとっての利便性を大きく向上させることが期待されています。

実証実験の概要

この実証実験は、2025年11月27日に熊本県内にて実施予定です。ダイレクトに利用することができる様々な交通機関、商業施設でQRコードを試す機会となります。参加する交通事業者として、九州旅客鉄道や九州産交バスが参加し、またユナイテッドトヨタ熊本を商店として位置付けることで、地域経済とも密接に連携しています。

実証実験では、以下の点に注目しながら検証を行います。
1. シームレスな移動体験の確認：複数の交通事業者をまたがる移動体験の質を評価。
2. API連携の可能性：異なるサービス間でのシステムの実現を目指します。
3. 技術的課題の抽出：改札機などとの連携における課題を見出し、改善策を模索します。
4. ユーザー体験の評価：利用者が直感的に使用できるデザインや操作性を確認します。

未来へ向けたビジョン

このプロジェクトの真の目的は、交通事業者を超えて、1つのQRコードでスムーズに移動できる環境を築くことです。鉄道、バスはもちろん、観光施設や商店での買い物もこのQRコードひとつで行けることを目指します。これにより地域間の移動が容易になり、観光や地域経済の活性化にもつながります。

また、地域交通が多くの課題を抱える中で、デジタルチケッティングの導入によって、特に交通弱者が多い地域においても大きなメリットがもたらされることでしょう。トヨタファイナンシャルサービス、日本信号、レシップは、このプロジェクトを通じて地域の移動課題を解決し、持続可能な公共交通の実現を目指します。

さらなる発展と展望

今後、my routeは実証実験で得たノウハウをもとに、さらなる地域交通の利便性を追求していきます。国土交通省のCOMmmmONSプロジェクトを通じ、業界全体で革新を進め、オープンなエコシステムを構築するための取り組みも進められています。

「移動基盤の整備」は、地域の活性化を促進し、地域の魅力を発見する手助けにもなるでしょう。これからの「my route」の展開に、期待が寄せられます。