植物由来の新たなエタノール生産技術の開発
豊田中央研究所は、トヨタ自動車と協力し、植物の非可食部から効率的にエタノールを生産する新しい発酵プロセスを開発しました。この発酵プロセスは、トヨタ独自の酵母菌『TOYOTA XyloAce™』を使用し、非可食部に多く含まれるセルロースやヘミセルロースを原料とすることで、世界最高水準の95%以上の変換効率を実現しています。
エタノール生産における環境への配慮
従来の第一世代エタノールは、可食部分から生産され、多くの食料と競合するため、持続可能性に疑問が持たれています。それに対して、第二世代バイオエタノールは、農林業の廃棄物や不適切な土地で育つ植物を活用できるため、より環境に優しい選択肢となります。しかし、これまでの技術では生産効率が低く、発酵を阻害する要素も存在していました。
トヨタ酵母菌の革新
トヨタ中央研究所は、これらの課題を克服するために『トヨタ酵母菌』を開発しました。この酵母菌は、従来の酵母では発酵できなかったキシロースをエタノールに変換する能力を持ち、発酵阻害物に対する耐性も兼ね備えています。また、選ばれた植物バイオマスに最適化することで、そのエタノール生産能力を最大化しました。
研究の成果と今後の展開
これまでの研究により、トヨタ酵母菌を用いた新技術が特に高いエタノール変換効率を示すことが確認されています。2024年に竣工した次世代グリーンCO2燃料技術研究組合のバイオエタノール生産研究拠点で実証され、持続可能なエネルギー供給の実現に向けた重要な技術として期待されています。
まとめ
この新たな発酵プロセスは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要なステップであり、持続可能な未来への道を切り拓くものです。豊田中央研究所とトヨタ自動車によるこの研究成果は、環境にやさしいエネルギー生産の選択肢としてますます注目されることでしょう。この革新がもたらす影響は、幅広い分野にわたり、社会全体での持続可能な発展に寄与することが期待されています。