高齢者向け給付金の認知度と実態
9月15日は「敬老の日」。高齢者の生活を支える社会制度として、公的年金が一般的に知られていますが、年金以外にも多様な給付金が存在することをご存知でしょうか。また、その多くは申請を通じて受け取れるものです。
今回、税理士の菅原由一氏が運営するYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』にて、65歳以上の年金受給者500名に対して行った調査結果をもとに、高齢者向けの給付金制度がもたらす支援内容とその認知度、需要について考察していきます。
調査概要
調査は2025年9月5日に実施され、インターネットを介して行われました。年金受給者に関する意識調査では、500名からの有効な回答を得て、年金以外の給付金や支援制度の認知度や実際の利用状況を探りました。
認知度の現状
調査結果では、年金以外で受け取れる給付金の存在を知っていると答えたのはわずか19.8%でした。「聞いたことがある」とする回答も含めると半数程度。しかし、残りの半数は「知らない」との結果に。これは多くの年金受給者が給付金の存在そのものを理解していないことを意味します。
さらに「具体的な制度の認知度」を尋ねたところ、「公共交通機関の補助」や「年金生活者支援給付金」の認知度が比較的高かったものの、他の制度に関しては情報が十分に届いていないことが浮き彫りになりました。
給付金受給の実態
実際に給付金を受け取っている人は14.8%に過ぎず、回答者の多くが「受け取っていない」とのことでした。受給していない理由で最も多かったのは「自分が対象になるか不明」というもので、次いで「制度を知らなかった」との結果が続いています。これらの結果は、高齢者が実際に給付金を受け取る際の大きなハードルが存在することを示しています。
情報提供のニーズ
高齢者にとって、給付金制度についてどのような情報が必要だと思うかという質問に対しては、圧倒的に「自治体からの郵送案内」が求められることが明らかに。具体的には、84%の回答者が郵送案内を希望していると答えました。このことから、高齢者世代には紙媒体や従来のメディアによる情報がより有効であることが分かります。
菅原由一税理士からのアドバイス
年金受給者にとって、給付金の存在を知ることが第一歩です。以下に、特に情報が届いていないにも関わらず多くの人が受け取れる可能性のある給付金を4つ紹介します。
1.
年金生活者支援給付金
年金受給者を対象にした支援金で、一定の条件を満たせば月額5,450円が支給されます。
2.
補足給付
介護施設の居住費や食費の補助を受けられる可能性があります。
3.
公共交通機関の補助
各自治体で異なる公共交通の割引制度の存在。
4.
高年齢雇用継続給付金
60歳以降でも働き続ける人のための賃金減少を補うための制度があります。
これらの制度は市区町村によって異なるため、自分や両親が受けられるかどうかを確認することが重要です。
調査を通じて、年金受給者にとって給付金制度の認知度が低く、情報不足が大きな障壁になっていることが浮き彫りとなりました。高齢者がより充実した生活を送るためには、自治体からの手厚い情報提供が求められています。ぜひ、この機会に確認してみてください。