工場勤務者の口腔健康に関する新たな研究
工場での交替勤務がもたらす口腔健康の課題が明らかになりました。この研究は、サンスターグループと徳島文理大学の研究チームによって行われ、工場の従業員の口腔衛生状態とその行動に焦点を当てています。この結果、交替勤務を行う従業員が、一般的な勤務形態の人々に比べて歯科口腔保健において顕著な問題を抱えていることが示されました。
調査の背景と目的
口腔の健康は全身の健康や寿命にも直結する重要な要素として、人々の意識が高まっています。加えて、特に就労期においては歯周病の罹患リスクが高く、歯の喪失も増加することが知られています。そのため、特に交替勤務者に対して適切な支援策が求められているのです。今回の研究では、交替勤務者が抱える健康問題を明らかにし、それに基づいた施策の必要性を考察しました。
研究方法
この研究は2023年に行われ、交替勤務のある工場での定期歯科健診を受けた66名(男性52名、女性14名)のデータをもとにしています。参加者は、交替勤務者群(該当群)と通常勤務者群(非該当群)に分けられ、口腔衛生状態の評価や歯科への受診状況が比較されました。
研究の結果
1.
口腔清掃状態の評価
交替勤務者群では、口腔清掃状態が著しく悪いことが判明しました。OHI-Sスコアは該当群が1.02、非該当群が0.35で、該当群の方が清掃状態が悪いことが示唆されます。また、歯肉出血が見られたのは該当群が53.8%に対し、非該当群は17.0%と、こちらも顕著な差がありました。
2.
歯科保健行動の不十分さ
かかりつけの歯科がないと答えた交替勤務者の割合は30.8%、非該当群ではわずか1.9%でした。また、受診したいと思っても「忙しさ」が理由で行けないと答えた割合も高く、これが交替勤務者の低い歯科受診率に寄与していると考えられます。
3.
食習慣と健康意識
交替勤務者群は食事や健康に関する意識も低く、食事が不規則であったり、適正体重を知らない割合も高いことが明らかになりました。これらの要因は、口腔衛生行動にも影響を及ぼしている可能性があります。
結論
この研究から、交替勤務者は口腔健康が悪化しやすく、歯科受診が難しい状況にあることがわかりました。今後は、特に交替勤務者に配慮した歯科保健施策が求められます。具体的には、歯科検診の機会を増やしたり、生活リズムの改善に寄与する取り組みが必要です。
専門家の意見
徳島文理大学の吉岡昌美教授は、交替勤務による生活リズムの変化が口腔健康に影響を与えていると述べています。彼は、食事や睡眠のルーティンがしっかりしていない場合、それが健康に与える悪影響が拡大する可能性があると警告しています。そのため、生活リズムに基づいた包括的な口腔健康支援の重要性が強調されます。
サンスター財団の役割
サンスター財団は、口腔保健の啓発や研究を通じて、地域社会の健康増進に寄与することを目指しています。特に交替勤務者への支援は、今後ますます重要なテーマになると考えられます。口腔健康は全身の健康につながる基盤であり、正しい知識と行動を600提供する支援が求められています。