株式会社TOWINGのタイ王国における挑戦
愛知県名古屋市に拠点を置く株式会社TOWINGが、タイ王国で高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を活用した農業実証に乗り出しました。この取り組みには、タイ国内および日本の大手企業との協業が含まれており、目標は地域の未利用バイオマスを効果的に利用しつつ、農業の持続可能性を向上させることです。
1. タイにおける農業の現状
タイ王国は豊かな農業資源を有する一方で、砂質土壌における劣化が問題視されています。また、砂糖やキャッサバの加工業界は独自の農業サプライチェーンを備えており、その中で環境への配慮が高まっています。野焼きによるPM2.5の大気汚染も深刻化しており、これを解決するために農業残渣をバイオ炭として活用する動きが期待されています。こうした背景の中、TOWINGはタイ市場に対する重要性を認識し、環境問題解決および持続可能な農業の発展に貢献すべく実証プロジェクトを開始しました。
2. 実証プロジェクトの進捗
新たにスタートしたプロジェクトは、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバといった大規模作物に加え、チンゲン菜やダイコンなどを含む園芸野菜を対象としています。これは、宙炭を施用することで土壌を改良し、化学肥料の使用を減少させるだけでなく、収量の向上や炭素貯留効果も確認することを目指しています。既にカセサート大学カンペンセーン校と連携し、タイの中部、東部、北部での同時実施が進んでいます。
具体的な事例として、北部のLampang Foods社と提携し、10,000ライ(約1,600ヘクタール)のスイートコーン栽培を対象にした計画が進行中です。ここでは、宙炭の施用により農地の炭素貯留を促進し、土壌の健全性を高めることで地域全体の農業の持続可能性を向上させることを目指しています。
3. さらなる展望と戦略
TOWINGは、経済産業省の支援を受けながら、タイにおける宙炭の生産モデルを拡大していく方針です。2025年7月までに駐在員事務所を設置予定で、これによりタイでの事業拡大を加速させる見込みです。また、TOWING独自の高機能バイオ炭「宙炭」が、タイ政府の推進するBCG(Bio-Circular-Green)経済モデルの実現にも関与し、それを通じて地球規模の環境問題の解決に寄与することを目指しています。
4. TOWINGについて
株式会社TOWINGは「サステナブルな次世代農業を実現する」ことをミッションとした、グリーン&アグリテックのスタートアップです。土壌改良資材としての高機能バイオ炭の開発・製造・販売を行い、宇宙開発利用加速化プログラム(スターダストプログラム)にも携わっており、未来の月面農業を視野に入れた研究開発も進めています。
愛知県名古屋市に本社を構え、農林水産省からも認定を受けているTOWINGは、地域資源を活用しながら持続可能な未来へ向けた取り組みを強化し続けています。今後の展開にも大いに期待が寄せられます。