働き方の進化とキャリアの主体性
総合人材サービスであるマンパワーグループ株式会社は、労働白書「キャリアの新原則」を発表しました。この研究は、イギリスやフランスを含む8か国におけるリーダーと従業員のエンゲージメントギャップについての調査結果をまとめています。本稿では、調査の結果をもとに、現代のキャリア形成とその課題について深掘りしていきます。
調査の実施背景
近年、従業員は成長と自己開発に対する意欲を高めています。自分の興味や目標に従ったキャリア形成を行い、自律的に道を切り開こうとする姿が見られます。しかし、多くの従業員は、キャリア形成をサポートしてくれる明確なパートナーが不足しているため、自らの努力や偶然のチャンスに頼る状況が続いています。
一方で、リーダーたちは従業員のキャリア開発に真摯に取り組んでいるものの、急速なテクノロジーの進化や環境変化に追われるあまり、従業員が求める長期的な支援を十分に提供できていないのが問題です。これにより、従業員の期待とリーダーの意図には大きなギャップが生じています。
従業員視点のキャリア形成
調査によると、従業員の32%が「自分の興味や優先事項に基づく選択」をキャリア形成方法として選んでいます。これは、自己主導のキャリア開発を示唆する結果です。しかし、リーダーのサポートが不十分な場合、組織と従業員の目標がズレることで、労働力のパフォーマンスやスキルギャップの拡大が懸念されます。従って、企業は戦略目標を人材育成に結びつけ、組織としての成長を促進する必要があります。
リーダー視点の課題
調査では、リーダーによる支援は依然として不十分であることが浮き彫りになりました。具体的には、「定期的なパフォーマンスレビュー(15%)」や「個別のスキル開発プラン(14%)」といった取り組みがあるものの、定型的なフレームにとどまり、従業員との意義のある対話にはつながっていないのが現状です。リーダーの業務負担が増加しているため、キャリア開発を優先事項として位置づけることが難しくなっています。
キャリア支援モデルの再構築
「キャリアの新原則」に基づき、リーダーが取るべき6つのアクションが提案されています。
1.
経験を重視したキャリアパスを描く:従来のキャリアラダーに依存せず、多様な経験を通じた成長を促進する。
2.
スキルを基にした意思決定:スキルを社内ならではの「通貨」として捉え、社内異動を円滑にする。
3.
AIの進化に備える:AIの役割を理解させ、従業員の不安を軽減する。
4.
マネージャーをキャリアナビゲーターに:従業員の成長を導くための権限を与え、評価基準を見直す。
5.
試験的なアプローチを導入する:キャリアの試行錯誤を奨励し、柔軟なプランを提供する。
6.
実践的な学びの環境を整える:業務の流れに即した形で、スキル成長を支援する文化を築く。
これらの取り組みを通じて、従業員が主体的に自らのキャリアを切り拓くことができる環境を整えていくことが求められています。
まとめ
マンパワーグループの「キャリアの新原則」は、従業員の自律的なキャリア形成を促進するために必要なデータとインサイトを提供しています。これらの知見をもとに、企業は人材戦略の再構築を考え、未来の働き方に対応していく必要があります。詳細は、
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