名古屋グランパスとザスモールシングスが進める新たなSDGsの可能性
名古屋グランパスは、地域貢献活動としてSDGsアカデミーを設立し、在留ブラジル人の子どもたちの支援を行っています。最近、その取り組みの一環で、株式会社ザスモールシングスと共同でSROI(社会的投資収益率)の算出に関する実証実験を実施しました。このプロジェクトを通じて、2024年度の活動が13,175,195円のインパクトを生んでいることが明らかになり、SROI値は4.48と高い数値が示されました。これは、100円の投資に対して448円の社会的価値が形成されたことを意味しています。
progettoの実施背景
名古屋グランパスが推進する「在留ブラジルキッズプロジェクト」は、愛知県に多く住むブラジルルーツの子どもたちを対象にした取り組みです。クラブがホームタウンの多文化共生を目指す中で、地域の教育支援へ積極的に関与することが求められていました。このプロジェクトでは、クラブのU-18選手たちと外国ルーツを持つ子どもたちが交流し、異文化理解を深めるプログラムが展開されています。
実施の内容と成果
参加したU-18選手たちとブラジル人コミュニティの子どもたちは、サッカーやワークショップを通して交流を重ね、言語や文化の壁を越えたコミュニケーションを育んでいます。年間を通して数回のセッションが行われ、例えば合同練習やブラジル文化紹介イベント、少人数でのディスカッションなどが実施されました。
この活動により、選手たちは異文化交流を通じて視野を広げ、社会性やコミュニケーション能力が向上するなど、多くの成長の声があがっています。一方、参加した子どもたちは、プロ選手とのふれあいを通じて自信を持ち、日本社会に対する理解が深まりました。さらに、様々な地域の関係者が集まり、連携が強化されることで新たなネットワークが生まれる機会にもなりました。
SROIの手法とフューチャーセッション
今回の実証実験では、SROIを用いて社会的価値を金額で評価しました。このプロジェクトに関わるステークホルダー同士でのワークショップ形式の討論を通じて、意見を集約し、アクションプランを策定しています。これにより、活動がもたらす価値を未来へつなげていくための具体的な施策が生まれつつあります。
6月4日には、プロジェクトの成果を共有する「フューチャーセッション」がJICA中部オフィスにて開催されます。このセッションには、名古屋グランパススタッフや共創パートナー、専門家などが参加し、得られた知見を更に深める機会となります。
これからの展望
ザスモールシングスは、プロジェクトを通じて得た知見を活かし、今後他のスポーツクラブや地域プロジェクトとの協働を進める考えです。スポーツを通じた社会貢献モデルの確立を目指し、地域の課題解決に貢献する活動の広がりに期待がかります。
名古屋グランパスの清水社長は、スポーツの社会的影響力を利用した地域課題解決の重要性を強調し、SROIによる客観的評価を進め、継続的に活動の振り返りを行う考えを示しています。これからもスポーツと共創の力で、様々な社会的価値を創出し続けることを目指しています。