新たなサプライチェーン戦略を提起する『覚悟のSCM』
このたび、アットストリームコンサルティング株式会社が著者・松宮覚による書籍『覚悟のSCM ─ サプライチェーン・マネジメントの物理的限界とAI時代の生存戦略』の第二版を発表しました。この書籍は2026年5月18日に公開され、特にサプライチェーン(SCM)の変革に向けた新しいアプローチを提示しています。
SCMの現状と課題
サプライチェーン・マネジメントは、これまで数十年にわたり多くの企業で改革が試みられてきましたが、依然として同じ問いが経営現場で繰り返されています。「なぜSCMは、30年間成果を出せなかったのか?」。著者はこの問いに対し、SCMを単なる技術論として捉えるのではなく、経営の覚悟として再定義しています。
特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進められる中でも、利益体質が改善されない、部門間で対立が生じて改革の進行が止まるなどの問題が顕在化しています。このような構造的な行き詰まりに対し、著者は「当たらない未来を前提に何を選択するか」という視点で新たな選択肢を提示します。
三階建てモデル
本書の中心となるフレームワークが「三階建てモデル」です。このモデルは、製造業・流通業の経営課題を3つの層で接続し、現場の数値を経営の意思決定につなげるための翻訳装置の役割を果たします。
- - 第3層 経営層(戦略の言語): ROICや売上高利益率など、経営の意志を数値目標として設定します。
- - 第2層 財務層(金額の言語): 売上高や棚卸資産を記録し、財務諸表と接続する内容です。
- - 第1層 現場層(数量の言語): 生産・販売・在庫に関する数量計画を固め、経営戦略に基づいた実行を可能にします。
この三つの層をつなぐことで、経営的視点を常に持つSCMの体制を実現することが可能です。
新章の追加内容
第二版では、初版刊行後の法制化の動きやAgentic AIの実装現状を踏まえ、サプライチェーンの変革についての論考が新たに追加されました。「SCMの直面する抜本的変革の要請」という第4部が新設され、以下の内容が加わっています。
- - 第10章: 法制化による「覚悟」の強制: 経営に対する法的要求が如何に変化しているかを分析します。
- - 第11章: Agentic AIへの進化によるSCMの再編成: AI技術の進化がサプライチェーンに与える影響の解説です。
- - 第12章: エコシステム全体のガバナンスと倫理: サステナビリティと倫理に関する議論を展開します。
著者は、「経営判断を遅らせる時間的猶予はもはや残されていない」との観点から、近未来のSCM変革を提案します。
書籍の意義
本書はSCM改革に取り組む経営者や担当者にとって、役立つ情報と視点を提供します。また、DX・AI導入を進めて利益体質が変わらないと感じている企業、部門間対立で改革が滞っている組織のリーダーにとっても、価値のある一冊と言えるでしょう。経営とオペレーションをつなぐ言語を探している方にもおすすめです。
最後に
「SCMはコスト削減の道具ではなく、経営の武器である。」との著者からのメッセージは、SCMを経営戦略にどう結び付けるかの重要性を強調しています。製造業や流通業の今後に向けた新たな道筋をこの書籍で学び、自らの経営理念に活かしていただきたいと思います。
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