豊橋市で動物園水族館の未来を探る勉強会開催
2025年5月23日、愛知県豊橋市に位置する豊橋総合動植物公園にて、「これからの動物園水族館を探る勉強会」が開催されました。このイベントには、日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟する国内の動物園や水族館の関係者のほか、国際的な団体からも代表者が参加しました。
勉強会の背景
この勉強会は、同月21日及び22日に開催されたJAZAの初の国内総会に伴い実施されることとなりました。この総会には、世界動物園水族館協会(WAZA)、スピーシーズ360、ワイルドウェルフェアという3つの国際団体が参加。動物園や水族館に関する未来のビジョンを模索するための重要な場として位置づけられました。
豊橋総合動植物公園はWAZAの加盟団体であり、これが国内での国際的な団体との連携を生むきっかけとなりました。勉強会では150名を超える参加者が集まり、これからの動物園や水族館がどう行動していくべきかについて議論されました。
JAZAの新たな将来構想
勉強会の中心として、JAZAの将来構想が紹介されました。JAZA将来構想室の室長である高見一利動植物園長がその内容を説明し、目指すべき未来のビジョンを提示しました。この構想は中期的な視点で、「地球と生きもののより良い未来のための行動」を基盤にしており、4つの目標と15のアクションを策定しています。
高見室長は「動物園や水族館が一丸となって行動しなければ、未来に向けての事業は進展しません」と強調。国際的な連携の重要性も訴え、積極的な意見の交換を呼びかけました。
国際的な専門家による講演
勉強会では、WAZAの最高経営責任者であるマーチン・ゾルダン氏が登壇し、動物園水族館の重要な役割について語りました。「私たちの目的は、世界中の動物園や水族館を結びつけることです」とし、様々な環境変化にどう適応していくかを論じました。特に気候変動の影響について具体例を挙げ、今後に必要な対応策も示しました。
また、スピーシーズ360のロブ・カルカーニ氏は、20000種以上の種の情報を管理するデータベース「ZIMS」について紹介しました。このシステムは、動物の保全や飼育においてどのように役立つかを解説し、参加者にデータ活用の重要性を伝えました。さらに、ワイルドウェルフェアのサイモン・マーシュ氏は、動物福祉に焦点を当て、その活動がどのように動物たちの生活の質を向上させているのかを述べました。
日本の動物園、水族館の可能性
最後には、参加者との質疑応答が行われ、特に「日本の動物園や水族館ができること」に焦点を当てたディスカッションが展開されました。ゾルダン氏は、地域に生息する生き物の保全活動を強調し、若い世代の関心も高まっているため、動物福祉に取り組む環境を整える必要があると述べました。
高見室長は「参加者が真剣に耳を傾け、多くの質問が寄せられたことを嬉しく思います。この勉強会が、動物園や水族館のより良い未来を築くスタートとなることを願っています」と締めくくりました。
このように、愛知県豊橋市での勉強会は、新たな視点と国際的な連携の重要性を再確認する貴重な機会となりました。今後の動物園や水族館の発展に期待が寄せられています。