愛知のアイシンが国際物流のDX推進に取り組む
株式会社アイシン(愛知県刈谷市)は、国際物流の可視化を進める新たなプロジェクトを発表しました。このプロジェクトでは、株式会社Shippio(東京都港区)が提供する貿易管理クラウド「Shippio Cargo」を活用し、次世代のサプライチェーン構築を加速させていくことを目指します。
背景
アイシンは2021年から全社を挙げて物流のデジタルトランスフォーメーション(DX-L)に取り組んでおり、国内外を問わずサプライチェーン全体のモノの行動履歴を可視化する構想を進めています。特に、国際物流の領域では、従来のExcelに依存した属人的な輸送状況や在庫管理が課題となっていました。これにより、計画と実績の進捗状況を把握することが難しい状況が続いています。
最近のコロナ禍では、コンテナ船の運行が混乱し、さらに本船の動静を紐づけたデータ収集の必要性が高まっています。このことから、アイシンは国際物流の状態をリアルタイムで把握できる仕組みを整えることを決定しました。
取り組みの内容
アイシンが国際物流における可視化を進めるために導入した「Shippio Cargo」は、特に船舶の自動トラッキング機能が強みです。これを活用することで、従来はブラックボックス化されていた国際物流における船のスケジュールデータをリアルタイムで取得できるようになりました。このデータを、アイシンが保有する貨物明細データと連携させることで、全体の計画と実績の差異を把握することが可能になっています。
さらに、単に貨物の動きを可視化するだけでなく、サプライチェーン全体の状況を俯瞰し、データに基づいた迅速な意思決定を行うことで全体最適の基盤を築きつつあります。現在、アイシンでは月間約1,200件の貿易案件を「Shippio Cargo」で管理しています。
今後の展望
「Shippio Cargo」を利用したシステムは2025年度中に約40のグローバル拠点へと展開される予定です。この取り組みにより、全世界的なサプライチェーンの最適化が本格化します。さらに、アイシンが提唱する「Cyber/ Physical Information Factory」というコンセプトのもと、蓄積された国際物流の行動データの高度な分析を進め、在庫の最適化やリードタイムの精度向上、物流シミュレーションなどが実現される見通しです。
目指すは2030年までの物流コスト半減です。これにより、業界全体の効率化が進むことが期待されています。アイシンは、国内外の物流業者や協力会社とデータを連携し、次世代ラベリングの社会構築に向けた取り組みをさらに進めていく方針です。
両社のコメント
アイシングループの生産本部生産企画部からは、「国際物流領域も重要なピースであり、全体最適を実現するために、業界の枠を超えた次世代のサプライチェーンを目指していきたい」とのコメントがありました。一方、Shippioの佐藤孝徳CEOは、「アイシン様の壮大なビジョンに共感し、業界全体を前進させるために重要なパートナーとして、全力でサポートしていく」と述べています。これからも、アイシンとShippioの協力により、国際物流の革新が進むことが期待されます。