Z世代が切り拓く和菓子の新たな魅力と挑戦

愛知県豊橋市に本社を構える老舗和菓子店「株式会社お亀堂」。創業から75年以上が経過したこの企業は、最近、新しい挑戦を始めています。その牽引役となっているのが、4月に入社したばかりのZ世代の新入社員です。彼は「もっと、分かりやすく、もっと“面白く”和菓子を伝えたい」との熱い思いを持ち、この言葉をきっかけに、新たな現場プロジェクトが始まりました。

動画で伝える和菓子の魅力

新入社員の提案を受けて、株式会社お亀堂では様々な企画が進行中です。製造工場のマニュアルを動画化し、製造の裏側をショート動画としてSNSに投稿することで、分かりやすさや面白さを両立させようとしています。この取り組みの背景には、「次の誰かをラクにしたい」というZ世代特有の思いや優しさがあります。彼は「自分が分からなかったことを動画にすることで、次の人が助かる」と語り、和菓子の製造過程を面白く感じてもらいたいという願いを込めています。

和菓子をエンタメに変える挑戦

Z世代の視点は、和菓子の制作現場をエンタメ空間に変える力を秘めています。人々がスマホを使って簡単に情報を発信できる時代、これまであまり注目されてこなかった和菓子の職人技や製造過程が、動画を通じて多くの人に広まる可能性を秘めているのです。工場マニュアルの動画化は業務効率の向上に寄与し、製造過程をショート動画として発信することで、SNS上でのバズを狙う動きが加速しています。

社内の変化と理念

社内では“動画共有文化”が徐々に根付いてきており、社員たちが自発的に動画制作に取り組む姿勢が見受けられます。代表取締役の森貴比古氏は、このプロジェクトが単なるSNS施策ではなく、お亀堂の「挑戦」と「革新」の延長線上にあると強く信じています。森氏は「伝統を守るだけでは生き残れない」と語り、和菓子に対する新たな魅力を自ら発信することの重要性を強調しています。

地域と共に生きる和菓子屋

お亀堂は地元の農家と連携し、新商品の開発を行っています。豊橋の果物や三河エリアの素材を取り入れ、地域の宝を和菓子として全国に届ける使命を担っています。気候変動や高齢化などの課題に立ち向かう中でも、農家の努力を伝え、規格外品を活用することで、地域経済の循環に寄与する「地域支援型の和菓子屋」を目指しています。

まとめ

Z世代の新入社員の挑戦をきっかけに、株式会社お亀堂は和菓子の新しい可能性を広げています。「固いだけじゃない和菓子」を実現し、現場の空気感を動画で届けることで、和菓子が持つ楽しさを幅広い世代に伝えていくこの取り組みは、今後も目が離せません。老舗和菓子店の進化を見守りながら、彼らがどのようにエンタメ空間を構築していくのか、楽しみにしています。