妊娠・中絶に関する相談実績から見える女性たちの苦悩とは？

一般社団法人ライフ・ホープ・ネットワーク（通称LHN）では、思いがけない妊娠に苦悩する女性や人工妊娠中絶後の精神的苦痛を抱える方々からの相談を日々受け付けています。愛知県名古屋市を拠点とするこの団体は、2025年上半期（1月〜6月）の相談実績を発表しました。それによると、155名の相談者から寄せられたデータからは、「未婚の若年女性」に限らず、様々な年齢層とライフスタイルの女性が妊娠や中絶に対する悩みを抱えていることが明らかになりました。

1. 妊娠に関する相談の多様性

LHNでは、妊娠に悩む方と中絶後の方の相談が半数ずつに分かれています。特に目を引くのは、相談者の年代分布で、最も多いのが30代という結果です。このデータは、厚生労働省の調査とも一致しており、30代の妊娠・中絶件数が高いことが伺えます。

若年の未婚者ばかりでなく、30代以降の女性たちも妊娠による葛藤を抱えている事実は、我々に重要なメッセージを届けます。特に2023年度の統計では、30代が人工妊娠中絶の件数で2番目に多いとされ、約35%に達します。このように、妊娠による喜びよりも複雑な感情を抱く人々が一定数いることは忘れてはいけません。

2. 既婚者も悩む妊娠・中絶

相談者の中で、既に家庭のある女性からの相談も占めており、4人に1人は子育ての経験者です。特に、既婚者が夫との子どもに関する妊娠・中絶の問題で悩んでいるケースが顕著で、20%の相談者がこの理由で機関に相談しています。これに加え、26%の相談者は既に子どもを持ち、さらなる妊娠にどう向き合うか悩んでいるのです。

3. 出産・育児の現実と社会の問題

このデータから見えるのは、出産・育児に対する不安が年齢に関係なく広がっているということです。相談者たちの話からは、経済的な負担、ワンオペ育児、高齢出産、仕事との両立など、さまざまな事情が浮き彫りになっています。それでも、皆が共通して持つのは家族の幸せを願う気持ちです。

「家族の幸せを守るためにはもう一人産むのは難しい」「この子を産むことが本当に幸せに繋がるのか」と悩む姿からは、酒の中での葛藤が伺えます。特に、出産や育児の経験者が「もう一度子どもを産むのか」という判断を強いられるのはかなりのストレスです。

このように、子育て世代が抱える心の問題は、単に家庭内の問題ではなく、社会全体の課題であると言えます。周囲からの偏見や期待、また「完璧な母親像」や「理想的な家族像」といったプレッシャーによって、妊娠・育児は一人で背負い込むには重すぎる負担であることが多いのです。

4. LHNの支援活動

ライフ・ホープ・ネットワークは、妊娠や中絶に関する悩みを抱える女性のためのサポートを行っています。電話やメールでの相談の他に、必要に応じて対面での相談も実施。また、生活環境が整っていない妊婦のためのサポートも行い、出産後に様々な形で再度訪れる女性たちのための居場所を提供しています。特に「ホームステイ」プログラムは、悩みを打ち明ける場所として、多くの女性に支持されています。

私たちが社会全体で妊娠・育児問題に向き合い、共に支え合う姿勢が求められています。LHNの活動は、このための大切な糧となるでしょう。

詳細やサポートについては、LHNの公式ウェブサイトをご覧ください。