ヘリカル型核融合炉の開発を進める新たな事業連携
2023年9月11日、愛知県一宮市で開催された記者会見にて、株式会社Helical Fusionと菱輝金型工業株式会社は、次世代クリーンエネルギーである核融合エネルギーの実用化に向けての事業連携を発表しました。この取り組みは、Helical Fusionが推進する「Helix Program」の一環として、核融合炉内の基幹部品であるブランケットの加工に特化しています。
Helical Fusionの背景
株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区)は、2030年代に世界初の商用核融合エネルギーを実現することを目標に掲げ、全国でのパートナーリングプロジェクトを進行中です。核融合エネルギーは、地球温暖化の主因となる二酸化炭素を排出せず、海水からも容易に利用可能な燃料で発電を行う持続可能なエネルギーとして期待されています。世界中の企業が2030年代の商用発電を目指し、様々な技術開発を進める中で、Helical Fusionはその最前線を走っています。
菱輝金型工業の技術力
一方、菱輝金型工業(本社:愛知県一宮市)は、自動車や航空分野において長年の経験を積んできた老舗の企業で、高度な精密加工技術に定評があります。菱輝金型工業は、大型かつ高精度な部品製造を得意としており、核融合プラントにおけるブランケットの加工においても、その技術力を活かすことができる企業です。Helical Fusionのブランケットは、特にメンテナンス性を重視した独自設計で、同社と共同で試作を行うことになります。
重要な役割を担うブランケットとは
ブランケットは、核融合炉内で生成されるプラズマを包み、発生する中性子を受け止めて熱エネルギーに変換する役割を果たします。そのため、エネルギー取り出しの要として非常に重要な部品です。菱輝金型工業が得意とする間接的加工技術を利用することで、今後の核融合エネルギーの実現に向けた試行錯誤が行われることが期待されています。
パートナーシップの価値
記者会見では、Helical Fusionの代表取締役CEO 田口昂哉氏が「菱輝金型工業との連携が、私たちの核融合炉開発を一層加速させる」とし、両社の協力関係に期待を寄せました。また、菱輝金型工業の社長である原康裕氏も、「核融合プラントの部品加工は、私たちの技術力で初めて実現できる」と自信を示しました。
エネルギー産業の新たな未来
Helical Fusionは、南半球や宇宙技術の分野にも影響を及ぼす未来のエネルギー産業を日本が牽引することを目指しています。そのためには、政府や企業、研究機関が密に連携し、急速に変化する市場環境に対応していく必要があります。
まとめ
この新たな事業連携は、核融合エネルギーの実用化に向けた重要な一歩です。愛知県のディープテック推進事業「Aichi Deeptech Launchpad」の支援を受け、今後の研究開発に期待が高まります。Helical Fusionと菱輝金型工業の取り組みは、次世代エネルギーの産業構造を変革する可能性を秘めており、今後の展開から目が離せません。