ローカル5G技術で進化する新丸山ダム建設事業の未来
岐阜県の加茂郡八百津町と可児郡御嵩町に位置する新丸山ダムの建設工事は、株式会社大林組が手掛けています。このプロジェクトでは、無線通信技術を駆使し、効率的かつ安全なダム建設を実現するための革新的な取り組みが進められています。特に注目されるのが、ローカル5Gを用いたケーブルクレーンの自動・自律運転の成功です。これは、2025年2月に達成され、ダム建設における新しい時代の幕開けを告げるものといえるでしょう。
自動・自律運転の実現
新丸山ダムの建設における重要な課題の一つは、建設機械の自動・自律運転の導入です。特に、ケーブルクレーンの運転を自動化することは、工事のスピードアップと安全性の向上に直結します。これまでの運用では、オペレーターと信号者が連携し手作業で進めていましたが、これを自律型システムにより自動化しました。
実証実験では、バックホウやダンプトラックなど計10台の建設機械が使用され、ローカル5Gによる無線通信が実際の施工において如何に活用されるかが検証されました。結果は成功に終わり、様々な天候条件下でも安定した通信ができることが確認され、今後はさらなる活用が期待されています。
ローカル5Gのメリット
ローカル5Gの導入は、新丸山ダム建設のみならず、建設業界全体に大きな影響を及ぼすものです。ローカル5Gは特定のエリア内で独自の高速ネットワークを構築できるため、他の通信利用者の影響を受けずに安定した通信を実現します。これにより、建設現場内での複数台の機器や機械を遠隔で操作することが可能となり、全体の効率が大幅に向上します。
この技術の利点は、ただ効率を上げるだけでなく、技術者不足という業界の課題をも解決する力を秘めています。特に、高齢化が進む建設業においては、自動・自律運転が非常に重要な役割を果たすと考えられています。
新丸山ダムの工事プロセス
新丸山ダム建設工事では、コンクリート打設をはじめとした一連のプロセスを自動化する「自律型コンクリート打設システム」の確立も目指しています。ケーブルクレーンに無線端末を設置し、リアルタイムで状況をモニターすることで、より安心・安全な運転を実現します。さらに、クレーンに搭載されたカメラは4K映像を監視室に送信し、高解像度の映像で安全性の向上にも寄与します。
今後、このシステムを基にAIを活用した運転制御やコンクリートの計算など、様々なプロセスへの応用が検討されており、引き続き多様な事業者との協力を通じて技術の進展が期待されています。
今後の展望
大林組とKDDIエンジニアリングが共に進める新丸山ダムの建設は、単なる地域インフラの整備にとどまらず、未来の建設業界全体に革新をもたらすものです。ローカル5Gをはじめとした先端技術の導入によって、工事の質を確保しつつ、効率化と安全性の向上を図るこのプロジェクトは、全国各地の建設現場における新たなスタンダードとなることが期待されています。今後もさらなる進捗に目が離せません。