看護師不足が深刻化！2025年意識調査から見えた課題と解決策

2025年における看護師の働き方についての調査結果が発表され、看護師不足が深刻な状況にあることが明らかになりました。株式会社エス・エム・エスが実施したこの調査は、全国の医療機関や介護施設に所属する人事担当者542名を対象に行われました。調査から得られた主な結果を詳しく探りつつ、現状の課題や今後の解決策について考えてみましょう。

調査結果の概要

調査によると、78.4%の事業者が看護師不足を実感しており、特に訪問看護ステーションと病院での不足感が顕著でした。この背景には高齢化社会が進み、在宅医療の需要が増加していることが影響していると考えられます。また、超過勤務時間については、平均で「1時間以上5時間未満」が最多であり、病院の看護師は特に過勤務が多い傾向にあります。

教育や研修に関しても課題が浮き彫りになっており、85.1%の事業者が何らかの問題を感じていることが分かりました。特に「現場が忙しくて教育に参加させられない」という声が多く、事業者が抱える負担は大きいといえるでしょう。

採用活動における工夫

調査によれば、看護師の採用活動に取り組んでいる事業者の多くは、応募条件の緩和や労働条件の見直しを行い、求職者の応募しやすさを重視しています。具体的には、応募条件の明確化や賃金の引き上げ、年間休日数の改善が挙げられます。しかしながら、採用にかかるコストや時間が増加しているという課題もあり、求人票の作成において自法人の特徴をうまく表現できない事業者も多いことが判明しました。

看護師の退職理由とその認識のズレ

看護師の退職者については、32.6%の事業者が昨年度よりも退職者が増加したと報告しています。退職理由としては、健康上の問題や同僚との関係に不満がある、などが挙げられました。しかし、看護師自身の調査では上司との関係や勤務時間に不満があるという声が多く、事業者側と看護師側の認識にズレがあることも明らかになっています。これを改善するためには、両者が声を交わし、理解を深める努力が必要です。

働き方改革に向けた取り組み

働き方改革に向けて、約半数の事業者が何らかの取り組みを実施しています。具体的には、看護師の人数を適正に配置し、有給休暇の取得を促進し、残業時間の削減に取り組むなどがあります。これらの施策は看護師のワークライフバランスを改善し、職場環境の向上に繋がることが期待されています。

一方で、内部のハラスメント相談窓口の設置が最も多く挙げられましたが、看護師自身は外部の相談窓口を望む声が多かったため、こちらも事業者が配慮すべきポイントです。

今後の展望

この調査結果は、看護師の働き方や福祉業界全体の課題がどれほど深刻であるかを示しています。明確な対策を講じることで、看護師の定着や新たな人材の採用の促進を図り、より良い医療・介護サービスの提供を目指す必要があります。

結果として、看護師の職場環境の改善は、業界全体の持続可能な発展に寄与することでしょう。今後も、エス・エム・エスによる定期的な調査を通じて、変化する看護師のニーズや市場環境について注視していく必要があります。