エアバッグの再生素材への道
国際的な環境問題が深刻化する中、廃棄物のリサイクルと再利用が求められています。特に、自動車業界では、年間273万台が廃車となり、そのうちの約1,900トンものエアバッグが廃棄されているという現実があります。これまで、エアバッグはほとんどリサイクルされず、ASR(自動車シュレッダ残渣)として処理されることが一般的でした。しかし、リファインバース株式会社と東レ株式会社が新たな一歩を踏み出しました。
共同の取り組み
最近、リファインバースは東レと協力し、廃棄エアバッグを再生してナイロン66樹脂を開発するための覚書(MOU)を結びました。これは、さまざまな複合材料のリサイクルが難しいという現状を踏まえ、新たなソリューションを模索する試みなのです。前回の取り組みであるエアバッグから生まれた「REAMIDE®」は、全国の自動車解体業者から回収されたエアバッグを利用して生産されており、建材や結束バンドなとに活用されています。
エアバッグのリサイクル技術
リファインバースが展開する「REAMIDE」は、シリコーンゴムとナイロン生地を分離する独自の技術を駆使しており、これにより高品質な再生ナイロンが可能となっています。現在、約30都道府県から回収したエアバッグは、愛知県一宮市にある自社工場で処理され、循環活用されています。このプロジェクトは新たな価値を創出し、自動車業界における環境負荷を大きく削減することを目指しています。
さらなる進化を目指して
今回の取り組みでは、エアバッグからの端材や廃車からの回収を担当するリファインバースと、コンパウンド処方設計や量産を担当する東レが明確に役割を分担しています。最先端のリサイクルプロセスによって、ナイロン66樹脂中の異物除去を徹底し、従来を超える品質の「REAMIDE」開発を実現しました。
今後は、廃車から回収したエアバッグが自動車用途に再利用されるようなサプライチェーンを確立し、持続可能な循環型社会の実現を目指していく所存です。
将来へのビジョン
リファインバースは、「誰にもない視点と技術で、未来の富をつないでいく」という理念のもと、20年以上にわたってサーキュラーエコノミーに取り組んできました。自社工場では、タイルカーペットや廃漁網のリサイクルのほか、新しいバイオ素材「ReFEZER」の開発にも取り組んでおり、ビジネスの力で持続可能な社会の実現を推進しています。
こうした取り組みを通じて、リファインバースは未来の世代に対してより良い環境を残すため、確固たる一歩を踏み出しているのです。廃棄物処理とリサイクルの新しい時代が、今まさに始まろうとしています。