若手社員の勤続意向低下、その背景と企業の必要な対応とは
ALL DIFFERENT株式会社と「人と組織の未来創り®」をテーマにしたラーニングイノベーション総合研究所は、2025年8月に社会人1~4年目の若手社員1,793人を対象にした意識調査を実施しました。この調査は、若手社員の勤続意向の実態に迫ると共に、その背景要因を探ることを目的としています。
調査の背景
近年、多くの企業が直面している問題として、若手社員の早期離職やモチベーション低下があります。特に、若手社員が組織内で前向きな気持ちを保つことは、企業の持続的な成長にとって重要です。さまざまな要因がこの勤続意向に影響を与える中、本調査はその詳細を明らかにします。
調査結果の概要
勤続意向の低下
調査結果によると、社会人歴が長くなるほど「今の会社で働き続けたい」と思う割合は低下しており、1年目で64.8%、4年目には51.6%にまで落ち込みます。このことは、若手社員が職場に対する期待と現実のギャップを感じ始めていることを示唆しています。
経営方針の重要性
経営陣からの明確な方針提示がある若手社員の90%近くが「働き続けたい」と回答した一方で、方針がないと感じる層は逆に多くの社員が「働きたくない」と述べています。このことは、経営層の情報発信が企業の雇用環境に直接的な影響を持つことを示しています。
リーダーの指導力
リーダーからの方針や戦略の明示がある場合、「働き続けたい」と回答する若手社員は91%に達し、逆にそのような指導がない場合の勤続意向は13.7%にとどまります。つまり、指導力が若手社員の意欲に大きく寄与していることがここからも読み取れます。
業務の目的の共有
上司や先輩から業務の目的を伝えられている若手社員は、90%が勤続意向を示していることも重要なポイントです。一方で、目的が伝えられない場合、意欲が低下する様子が浮き彫りになっています。
指導体制の影響
上司からの丁寧な指導を受けている若手社員は85%が勤続意向を示していますが、指導がない場合、その意向はわずか8.5%にとどまります。つまり、きめ細やかなサポートが辞職を思い留まらせる要因となるのです。
人間関係がキー
さらに、良好な人間関係を築いている若手社員の83%が長く働きたいと考えているのに対し、関係が悪い場合はわずか8.8%に落ち込んでしまいます。これは、職場環境が社員の心理的な安定に大きく影響することを意味します。
まとめ
今回の調査から、若手社員が「働き続けたい」と思うかどうかは、企業のコミュニケーションのあり方が大きく影響していることが示されました。企業側は、経営方針を徹底して周知し、リーダーが戦略や目標を明確に伝え、日ごろから社員との関係を密にするための取り組みが求められます。
このような努力によって、若手社員の持つ潜在能力を引き出し、企業の成長へとつなげる環境を整えていく必要があります。経営層は、方針を明確に伝えるだけでなく、現場での実行を意識した具体的な施策を講じることが重要な課題と言えるでしょう。若手が組織で活躍し続けられる環境を構築していくため、企業は自らの方針を見直し、適切なフィードバックと定期的なコミュニケーションを通じて、若い世代の信頼感を育成する取り組みが必要です。