退職代行サービスを利用した転職者の実態
退職の意思を上司や同僚に伝えることは、しばしば心理的な負担が伴います。このため、多くの人が、退職代行サービスの利用を考えています。タレントスクエア株式会社による最近の調査によると、退職代行サービスを利用した人の中で、約40%が転職後に年収が上昇したとの結果が出ていますが、残業時間については改善が見られない人が多かったことが判明しました。
調査概要
この調査は、2025年3月14日から3月17日の間に、退職代行サービスを利用したことがある1,110人を対象に行われました。利用した退職代行サービスとしては、アディーレ法律事務所、退職代行ガーディアン等が挙げられ、男女ともに幅広い年齢層から参加がありました。
退職代行サービス利用者のキャリア変化
退職代行サービスを利用した後、73.8%の人が正社員として転職を果たしました。派遣社員や契約社員として転職した人も一定数いますが、正社員としての就職が多数を占めています。利用者たちは、退職の意思を示した後の転職活動をどのように進めていたのでしょうか。調査結果によると、46.7%の人が「転職先を決めてから退職代行を利用した」と回答しています。何と、全体の約9割が転職活動を行なっていることが伺えます。
転職後の年収の変化
年収については、退職代行サービスを利用して転職した人の40.3%が年収が上がったと回答しています。これは、厚生労働省が発表したデータにも一致しています。ただし、残りの51.8%は年収が変わらなかったとし、下がったという回答も7.9%存在しました。
残業時間と新しい職場への適応
残業時間については、54.9%の人が「変わらない」と回答し、25.4%が「長くなった」と感じる一方、19.7%は「短くなった」と答えています。これは、転職後も必ずしも労働環境が改善されるわけではないことを示唆しています。
新しい職場への適応状況については、約90%が「すぐに馴染めた」または「少し時間がかかったが馴染めた」と感じています。このことから、退職代行サービスを利用した転職後も、多くの人が新しい環境に問題なく適応できていることがわかります。
満足度に見る退職代行の活用
最後に、退職代行サービスを利用したことに対する満足度調査も行いました。結果として、約9割が「満足」または「やや満足」と回答。理由には『会社と直接やりとりせずにすんだ』『精神的な負担が軽減された』といった理由が多く上げられています。それに対して、一部の人々は『有給休暇を消化できなかった』『懲戒解雇処分を言い渡された』といった理由で満足していないことも明らかになりました。
まとめ
退職代行サービスは、転職をスムーズに進めたいと考える人々にとって、有用な手段と言えるでしょう。しかし、転職後の労働時間や環境面での問題が解決しない場合もあるため、慎重に選ぶことが求められます。この調査結果をもとに、今後の退職代行サービスの利用がどのように既存の就業形態に影響を与えるのか、より深く理解していくことが大切です。