人手不足に立ち向かうくら寿司の社員体験型研修とその効果

日本の外食産業が人手不足に悩まされている中、特にくら寿司が導入している体験型研修が注目されています。近年の調査によると、飲食業界では人材確保が難航しており、求人倍率が全職業合計を大幅に上回る2倍以上の超売り手市場であることが明らかになりました。これは、団塊世代の退職、少子高齢化など複合的な要因によるもので、従業員が「ここで働きたい」と思える環境を整えることが急務とされています。

体験型研修の重要性

くら寿司は、従業員エンゲージメントを高めるために、業務に役立つ体験型の研修を実施しています。例えば、農業や漁業の現場での体験を通じて、食を支える生産者とのつながりを感じることができます。

また、同社では「KURA-No. 1 ＧＲＡＮＤＰＲＩＸ」という社内コンテストを実施し、料理の技術を競い合う場を設けています。このような取り組みは、従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントを向上させる重要な要素です。

研修の具体例

くら寿司では、多様な研修メニューが用意されています。新入社員向けの「くら塾」や、2年目以降の社員のためのフォロー研修、女性リーダー研修など、多くの研修プログラムが存在します。これにより、様々な経験を持つ従業員が、互いに学び合い、成長する機会が提供されています。

さらに、昨年からは漁業研修も開始し、持続可能な未来を意識した研修内容が追加されました。新入社員の約90％がアルバイト経験者であるため、即戦力として活躍できるというメリットもあります。

モチベーション向上への取り組み

体験型研修だけでなく、位を問わずリーダーシップを高めるための研修が行われていることもポイントです。参加者は、事前に「なぜこの研修が必要なのか」を理解し、実施を通じて企業理念に触れることで、業務に対する興味や関心が高まります。

体験型研修の効果

教育担当者によると、体験型研修を通じて、お米や魚の生産過程を学ぶことで、食材への理解が深まるだけでなく、仲間との絆や自然への感謝の気持ちが芽生えるとのこと。また、日常の業務に役立つ内容が盛り込まれているため、研修の内容が直接的に業務に反映される点が大きな魅力として挙げられます。

今後の展望

2025年には「KURA-No. 1 ＧＲＡＮＤＰＲＩＸ」の世界大会が開催される予定で、アメリカや台湾のスタッフと共に腕を競い合う機会が設けられます。これにより、さらに多くのスタッフが参加し、企業のブランド力を高めることが期待されています。

今後、くら寿司がどのようにこの研修プログラムを展開し、従業員のエンゲージメント向上を図っていくのか、その動向に要注目です。