名古屋商工会議所調査、賃上げの現状とその背景に迫る
2026年度の賃上げを見据えた名古屋商工会議所の調査が行われ、興味深い結果が明らかになりました。この調査は、中小企業や小規模事業者の実態を把握し、今後の政策や支援施策に役立つことを目的に実施されました。調査対象の地域企業が直面している課題や賃上げの実施状況について詳しく探ってみましょう。
調査の概要と結果
2026年の賃上げを見込んだ「第56回定期景況調査」は、2023年2月に実施され、全体で1,273社からの回答を得ています。この中で、従業員を雇用していると回答した1,143社について分析した結果、約71%の企業が何らかの形で賃上げを行う意向を示しました。これにより、賃上げの動きが全国的に広がっていることが浮き彫りになっています。
特に、中小・小規模事業者においても、大企業と同様の水準で賃上げを考慮している点が注目されます。しかし、一般消費者を主な取引先とする企業においては賃上げの実施見込みが54.3%と低めであり、価格転嫁が難しい影響が反映されているようです。
防衛的な賃上げの実態
これまでの調査結果からは、賃上げが「防衛的な賃上げ」として実施されるケースが多いことが確認されました。つまり、56.7%の企業が原資に制約のある中で賃上げを行うと回答しており、企業規模に関係なく、この傾向がみられます。採用や人材定着を目的とした賃上げであっても、経営の余裕がない状況で実施するため、企業は苦境に立たされているのです。
経営環境が厳しい中での賃上げは、企業にとってリスクを伴う行動となりますが、長期的な視点からは持続的な賃上げを実現するために、しっかりとした価格転嫁の実施が求められています。
価格転嫁の重要性
本調査はまた、コスト上昇分を適切に価格に反映できている企業の方が、賃上げに余裕を持って取り組める傾向があることを示しています。逆に、価格転嫁が進まない企業においては「防衛的な賃上げ」がより多く見受けられるため、採用や人材定着への影響が考えられます。
このように、企業が賃上げを持続的に行うためには、まずは労務費の適正転嫁に取り組むことが急務となります。特に、受注減少への懸念から交渉を躊躇する企業が多い現状では、労務費を他のコストと切り分けて根拠を示すことが大切です。
結論
名古屋商工会議所の調査結果は、賃上げの意向が広がっている一方で、「防衛的な賃上げ」が多いという複雑な状況を浮かび上がらせました。地域企業が持続可能な経営を実現するためには、賃上げと同時に価格転嫁を進める施策が必要不可欠です。今後の動向に注目しつつ、企業同士の協力や、支援制度の充実が求められる時代が続くことが予想されます。