未来の防虫対策を支える技術
2025年に開催される大阪・関西万博。この大規模イベントに向けて、SORA Technology株式会社が注目されています。彼らは大阪府ペストコントロール協会から委託を受け、万博会場内での防虫対策を効率化するために、新たな技術の導入を行っています。このプロジェクトでは、ドローンによる高解像度の空撮とAIによる画像解析が駆使され、蚊の発生源を特定する作業が進められています。
背景と目的
従来の防虫対策は、特定のエリアを巡回しながら発生源を追跡する方法が主流でしたが、迅速な情報共有や見える化に課題がありました。SORA Technologyは、ドローン飛行技術を活用し、万博会場の上空から撮影した画像を解析して、排水溝や水たまりの位置を特定。こうしたデータを基に、効果的な薬剤散布計画を立てることが可能になります。
ドローン飛行の概要
このプロジェクトでは、2025年の7月から9月にかけて、大阪・関西万博の会場となる夢洲上空でドローンを運用します。飛行には2名のパイロットと5名の補助作業員が必要です。万博会場付近は一般的にはドローン飛行が禁止されていますが、博覧会協会の許諾を受けた上で公安委員会に通報することで、飛行を行うことができます。また、無許可でのドローン飛行には罰則が課せられるため、充分な準備と手続きが求められます。
空撮画像を活用した全体図の作成
ドローンは300メートル四方ごとに区切られた70グリッドで飛行し、各グリッドにおいて詳細なマッピングを行います。秒速約10〜15メートルのスピードで飛行し、100メートルの高度から約5分間で1グリッドの撮影を終えます。得られた画像は、オルソモザイク処理を施し、歪みのない航空写真として合成されます。これにより、具体的な排水施設の位置や、屋上にできた水たまりが視覚化され、適切な防虫対策が講じられるのです。
今後の展開
万博には世界中から多くの来場者が集まります。その中で、蚊が媒介するデング熱などの感染症リスクは無視できません。来場者の快適性と安全を確保するため、SORA Technologyは防虫ハザードマップを作成し、デジタル化を進めています。撮影した画像をウェブで共有し、関係者が散布対象地点の情報を入力することで、データの一元管理を行います。また、スマートフォンのアプリも活用し、散布地点へのナビゲーション機能を追加。これにより、迅速かつ効率的な防虫対策が実現します。
気候変動が進む中、日本でもこれまで見られなかった感染症拡大が懸念されています。そうした課題に対処するため、SORA Technologyはアフリカや東南アジアでの経験を基に、国内でも防虫対策技術を展開していく方針です。
会社概要
SORA Technology株式会社
- - 本社: 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1 なごのキャンパス
- - 代表者: 金子洋介(Founder兼CEO)
- - 事業内容: ドローンおよびAIによる感染症対策、農業支援、災害対応技術の開発・提供
- - 設立: 2020年
- - ウェブサイト: SORA Technology
大阪府ペストコントロール協会
- - 本部: 大阪市中央区常盤町2-1-15
- - 代表者: 曽谷久嗣(会長)
- - 事業内容: 害虫相談の設置と施工業者紹介、平常時及び緊急時の防除業務の受託
- - 設立: 1981年
- - ウェブサイト: 大阪府ペストコントロール協会