中小企業におけるストレスチェックの実施状況と改善策の必要性
NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した「中小企業のストレスチェックの実態」に関する調査によると、従業員50名未満の企業でストレスチェックを行っているのはわずか20%にとどまっています。この調査結果は、ストレスに対する企業の取り組みが不十分であることを物語っています。
ストレスチェックの実施状況
調査結果によると、ストレスチェックを「定期的に実施している」と答えた企業は約10%、不定期の実施を含めても合計でおよそ18.3%しかありません。残りの75.9%が「実施したことがない」と回答しています。この数字からも、多くの中小企業がストレスチェックに取り組んでいない現実が浮き彫りとなっています。
ストレスチェックの方法についても触れると、77.3%の企業は年に1回または半年に1回程度の頻度で実施していると答え、結果の活用方法は「個人へのフィードバック」が最も多く、続いて「職場環境の改善」や「メンタルヘルス対策の立案」が挙げられました。
ストレスの要因と問題点
次に、従業員が職場で感じるストレスの要因を見てみると、「人間関係」が最も多く、40.3%がこの問題を挙げています。次いで「評価や報酬への不満」が22.3%、少し離れて「失敗したとき」が20.4%と続きます。これにより、多くの従業員が職場の人間関係の悪化をストレスの根本原因と感じていることが明らかになりました。
先述の通り、「パワハラ防止法」が施行され、相談窓口の設置が義務づけられる中で、小規模企業ではそれに対する対応が後手に回っている状況です。実際、ストレスやパワハラに関する相談窓口が整備されている企業はわずか13.5%で、78.0%には窓口すら存在していません。
相談窓口の利用と転職の意向
設置された相談窓口が利用されているかという問いに対して、68.4%が「利用したことがない」と回答しました。つまり、相談窓口があっても実利用率が極めて低いことから、従業員の信頼が薄れていることが示されています。
また、現在の会社の環境がストレスとなり、転職を検討したことがある従業員は62.8%に達しています。この背景には、企業側のアプローチへの不信感や、相談後の立場への不安が影響していると考えられます。具体的には、「相談しても適切に対応してくれない」「相談することで業務がやりづらくなる」といった声が多く寄せられています。
こうした状況を踏まえ、現在の離職率を下げ、従業員満足度を高めるためには、企業側に対する具体的な改善要求が求められます。給与・待遇の改善、安全で健康的な職場環境の整備、業務量の適正化といった要望が上位に挙がっています。
まとめ
中小企業におけるストレスチェックの実施率は約20%と低く、多くの職場で人間関係や評価制度への不満がストレスの要因となっています。相談窓口が設置されていても利用実績は少なく、従業員が気軽に相談できる環境が整っていないのが現状です。企業の適応力が離職率に大きく影響していることから、ストレスチェックの制度を有効に活用し、相談窓口の信頼性を向上させる必要があります。このような取組により、中小企業が従業員のストレスを軽減し、働きやすい職場環境を築くことが期待されます。