管理職が描く理想のリーダー像を分析！役職別に変わるリーダーシップ

近年、企業環境の変化に伴い、管理職に求められる役割が多様化し、それに応じた理想のリーダー像にも変化が見られます。ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が実施した調査によれば、管理職531名の理想として挙げられるリーダーシップにはいくつかの特徴があることが明らかになりました。

調査の背景

企業では新入社員から管理職に至るまで、リーダーシップに関する意識は年々重要視されています。自身の成長やチームを導くためには、どのようなリーダー像を描くかが重要です。今回の調査では、新任管理職、ベテラン管理職、幹部候補の3ステージに分け、理想のリーダー像やリーダーシップに影響を与える経験を調査しました。

理想のリーダー像

調査結果を見てみると、各ステージで「理想のリーダー像」に顕著な違いが現れました。新任管理職が最も支持したのは「部下に寄り添い支えるリーダー」で、32.4%という高い割合を示しています。これは、特に新任期の不安や経験不足が影響していると考えられます。一方、ベテラン管理職では同じく「部下に寄り添うリーダー」が22.0%と支持されつつも、幹部候補に至っては「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が27.6%とトップとなり、チームの成果に対する意識が反映されていました。

理想のリーダー像の割合

このように、リーダー像は新任から幹部候補へと進むにつれて、より成果主義的な視点が強くなっていることがわかります。特に新任管理職は、部下への支援を重視し、ベテラン・幹部候補は結果に対する責任感を求める傾向が強いです。

ポジティブな影響を与えた経験

次に、リーダーシップの発揮にポジティブな影響を与えた経験について分析したところ、新任管理職は「上司からのフィードバック」が29.4%と最も多く、自己成長につながる回数が多いことが特徴です。これに続くのが「業務のひっ迫による多忙」と「上司の業務代行」が26.8%で、実務に対する積極的な姿勢が表れています。

ベテラン管理職のトップには「顧客からのハードな要求への対応」が34.1%と、顧客と向き合うことで磨かれるスキルの重要性が浮かび上がります。一方、幹部候補の経験は「取引先との難しい交渉」に46.9%が多く、社外との接触が豊富であることが結果に影響を与えていることがわかりました。

ポジティブな経験の割合

ネガティブな影響を与えた経験

一方、リーダーシップのネガティブな影響をもたらした経験についても調査が行なわれました。新任とベテラン管理職には、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が影響を及ぼす結果となり、各30%を越えました。強い負担感はそれぞれのリーダーシップに影響を与える要因となっています。一方で、幹部候補では「特になし」という回答が29.6%と他のステージに比べて低く、経験と自身の適性に自信を持っていることが示されました。

ネガティブな経験の割合

まとめと今後の課題

調査結果を総じて考えると、管理職に求められる理想像はステージによって明確に異なることがわかりました。新任管理職には部下の支援を重視する姿勢が求められ、一方で幹部候補は結果への責任感を強く持つ必要があります。

この研究をもとに、企業は各コースにおいて適切なリーダーシップの育成プログラムを設け、ポジティブな経験を積ませることが重要です。特に、上司からのフィードバックや業務の難易度の高いプロジェクトへの参加など、実際の業務経験を通じた成長の機会を創出することが、組織全体のパフォーマンス向上につながることでしょう。今後はこれらの実践を継続し、各管理職の成長を支援することが求められます。