若手社員の海外志向の変化
近年、国内における人口減少と同時に、企業の海外展開がますます重要となっています。特に、若手社員の間で「海外での勤務」に対する意識が大きく変化していることが最近の調査で明らかになりました。世界的な経済環境の変化や、国内での閉塞感に起因するこの傾向は、企業にとって無視できない課題です。
調査概要
東京に本社を置くbeyond global Japan株式会社が実施した調査では、新卒1年目及び3年目の会社員875名を対象に、グローバル意識に関する定点調査が行われました。ここでの調査データを元に、若手社員の海外志向について考えていきます。
海外志向における転機
昨年の調査に比べ、新卒1年目の「海外で働きたい」という層は、18.1%から27%に急増しました。一方で、日本国内で外国企業や外国人と関わりたいという希望は減少傾向にあり、グローバルな仕事には興味がないという意見も微増していることが確認されました。新卒3年目も同様に、海外勤務に興味を示す社員が増加しており、個々の経験やキャリア形成に基づいた意志が明確に現れています。
このように、若手社員のグローバルな働き方に対する興味が増加している背景には、コロナ禍からの制限解除後に、「国際的な環境で活躍したい」という気持ちが強く育まれるようになったことが考えられます。国際情勢の不安定さや、経済政策による逆風もあれど、若者たちの間には間違いなく新たな挑戦への意欲が息づいているのです。
若手社員が感じる閉塞感
調査によると、日本国内でのキャリア展望に対して多くの若手社員が「閉塞感」を実際に感じ始めています。特に新卒3年目の社員の中では、この「閉塞感」が顕著に表れており、約28.6%が強く感じているという結果が出ています。これは、職場環境における自由度や多様性への不足から来ている可能性があります。
例えば、大学卒業後すぐに社会に出た若者たちは、理想と現実のギャップを経験し、将来に対する不安感を抱くようになったのです。また、この「閉塞感」は、社会全体の経済状況や労働環境が硬直的であることからも影響を受けていると考えられます。このような中では、若手社員がより自由で多様なキャリア形成を求め、海外勤務の選択肢に目を向けるのは自然な流れと言えるでしょう。
企業に求められる環境整備
企業側はどのようにこのような若手社員のニーズに応えていけば良いのでしょうか?調査結果では、若手社員が「海外で働きたい」と思う理由として『日本国内の閉塞感を感じるから』という意見が増加している点が挙げられます。これを受けて、企業には若手社員が挑戦できるための「試せる制度」の整備が求められています。
具体的には、国内にいながらにしてグローバルな経験を積むための「国内でのグローバル研修」や「短期海外派遣制度」、そして外国語習得に対する支援などが必要です。こうした施策を通じて、社員が自信を持って海外で働けるようになるための基盤を築くことが求められるでしょう。
結論と今後の展望
調査を通じて見えてきたのは、若手社員の海外志向が単に「なくなった」のではなく、「変化した」ということです。企業におけるキャリア支援が充実すれば、若手社員が自信を持って海外に挑戦できる環境が生まれ、革命的なグローバル化が進むのも夢ではありません。これからの企業は、社員の成長と将来を見据えた支援を行い、彼らの可能性を引き出すための取り組みを強化していくべきです。次世代のグローバル人材育成は、企業の未来を支えるために不可欠な要素であると言えます。