高齢者向けロボット支援膵切除術、安全性と有効性が明らかに

高齢者向けロボット支援膵切除術の安全性と有効性

国立大学法人岡山大学の岡山大学病院が、藤田医科大学と共同で行った研究により、高齢者に対するロボット支援膵切除術の安全性と有効性が確認されました。この研究は、2025年9月17日、欧州のがん関連研究学術誌「Cancers」に発表され、高齢化社会の進展に伴い、増加しつつある高齢者患者への重要な治療課題に答えるものです。

研究の背景

近年、肝胆膵外科学では、高齢者患者の割合が増加してきています。膵臓手術は、術後の合併症のリスクが高く、特に基礎疾患や悪性疾患を抱える高齢者に対しては慎重な判断が求められます。2020年から2024年の4年間に岡山大学病院と藤田医科大学病院で、ロボット支援のもと膵切除術を受けた380人の患者の中、59人が80歳以上の高齢者でした。

研究結果と考察

分析の結果、高齢者は術後の入院期間が長引く傾向を示したものの、合併症の発生率は非高齢者（79歳以下）と大きな差はありませんでした。これは、ロボット支援手術が低侵襲であり、高齢者にとっても安全な選択肢であることを示しています。将来的には、さらなる高齢者治療の向上が期待されます。

医療現場から

研究代表者の高木弘誠講師は、「高齢患者が増加傾向にある中、手術の適応を慎重に決める必要がある。今回の研究成果により、ロボット支援手術の安全性と有効性を確認できたことは大きな意義を持つ」と述べ、安全性が確認されたことの重要性を強調しました。この結果が高齢者患者の治療成績改善に寄与することを期待しています。

論文情報

この研究の詳細は、论文名「Outcomes of Robotic Pancreatectomy in the Octogenarian: A Multicenter Retrospective Cohort Study」として発表され、著者には岡山大学の高木講師や藤田医科大学の髙原教授などが名を連ねています。さらに、これらの研究は、今後の治療法の開発や高齢者医療の改善にも大きな役割を果たすと期待されています。