ダイハツとトヨタグループが挑む再エネ活用の未来
2025年10月、ダイハツ工業株式会社、株式会社豊田中央研究所、そしてトヨタ自動車九州株式会社の三社が新たな取り組みを開始しました。この取り組みは、再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドシステムの実証実験です。
1. 背景と目的
近年、環境問題への関心が高まり、カーボンニュートラルの実現が求められています。特に、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーの活用は、持続可能な社会の実現に向けて重要です。ダイハツはこの流れを受け、豊田中研と共同で効率的な電力変換が可能な「Smart Power Hub®(SPH®)」技術を開発してきました。昨年からダイハツ社内での技術検証を進めてきましたが、より大規模な環境下での実績を構築する必要がありました。
一方で、トヨタ九州もハイブリッド車からリユースしたバッテリーを使った蓄電池システム「KRe:Ba」によるカーボンニュートラル化の取り組みを進めており、再エネの効率的な活用を目指しています。両社はそれぞれの強みを生かし、再エネの効果的利用を模索しています。
2. 実証実験の内容
今回の実証実験は、トヨタ九州の小倉工場で実施されます。豊田中研とダイハツが共同開発したSPHを使用し、太陽光発電から生まれた電力を製造ラインに供給します。余剰電力は蓄電池に貯蔵され、必要な時に利用されるため、効率的な電力の活用が可能です。
このシステムは、以下のような特長を持っています:
- - エネルギーロスの削減: SPHの導入により、電力変換時のロスを約45%削減。自動車部品の活用により、低コストでコンパクトなシステムを実現。
- - 瞬時の電力供給: 超高速制御技術により、電力の供給が途絶えることなく、安定した生産活動を維持。
3. 今後の展望
ダイハツ、豊田中研、トヨタ九州の三社は、2035年までにトヨタグループ全体でのCO2排出量を実質ゼロにすることを目指しています。この実証実験を通じて得た知見を活用し、より多くの工場や店舗への再エネ活用の拡張を目指しています。
4. 各社からのコメント
実証実験に関して、各社の代表者は次のように述べています。
- - ダイハツ桑田副社長: 「トヨタグループが一体となり、マイクログリッドシステムの実証ができることを嬉しく思います。これはカーボンニュートラル実現に向けた第一歩です。」
- - 豊田中研田辺執行職: 「SPHは再生可能エネルギーの有効活用を促進する画期的な技術です。この実証実験が社会実装に向けた一歩となることを期待します。」
- - トヨタ九州岩原副社長: 「持続可能社会への貢献をさらに進めていく所存です。今回の実証実験がその基盤となることを願っています。」
結論
ダイハツとトヨタグループの三社によるこの取り組みは、再エネの利用促進とカーボンニュートラル化だけでなく、持続可能な未来へ向けた新たな一歩を示しています。今後の成果が期待されるプロジェクトです。