名古屋大学が発表した心臓の自己修復メカニズムとは？

大人の心臓細胞の自己修復メカニズム

名古屋大学大学院医学系研究科とLYMPHOGENiX Limitedが共同で行った研究により、成人の心臓に存在する線維芽細胞が持つ驚くべき自己修復能力が明らかになりました。この研究は、心筋梗塞や虚血性心不全後の心臓の修復プロセスに関する新たな知見を提供し、近未来の心不全治療に大きなインパクトを与えることでしょう。

研究の背景とは？

虚血性心不全は、心筋梗塞などにより心臓の一部が死滅し、結果として心臓の機能が低下する病気です。この病気は、炎症と線維化が進行することで悪化し、適切な治療がなければ、さらなる合併症や生命の危険を招くこともあります。そのため、新しい治療法の開発が急務とされてきました。

研究のポイント

この研究チームが注目したのは、成人の心臓に存在する線維芽細胞です。彼らは、この細胞が炎症性サイトカインであるTNF-αとIL-4に影響を受けることで、特定のサブタイプであるVCAM1陽性細胞に変化することを発見しました。この細胞の最大の特徴は、強力な修復因子であるアドレノメデュリンを分泌することです。この因子は、心臓のリンパ管新生を促進し、浮腫や炎症、線維化を軽減する役割を果たします。

具体的なメカニズム

アドレノメデュリンは、心筋梗塞や虚血性心不全後の修復過程で特に重要な役割を持っています。この因子は心臓内でのリンパ管新生を刺激し、結果として心臓機能の保持と回復を助けます。研究者たちは、このプロセスがどのように細胞間で伝達されるのか、炎症の影響がどのように心臓の修復に寄与するのかを詳しく調査しました。