スカイピークとJR東海、鉄道点検におけるドローン活用の実証実験
鉄道の安全運行を支えるため、点検業務の効率化が求められています。このたび、株式会社スカイピークと東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が共同で行った「レベル3.5飛行」の実証実験が、2025年3月24日に実施されました。この試験は、ドローンを使用した目視外飛行による鉄道施設の点検の可能性を探るもので、今後の鉄道業界に大きな影響を与えるでしょう。
1. 実施の背景
JR東海では、鉄道設備の点検は不可欠な業務として位置づけられています。従来は、係員による目視点検や、ドローンによる目視内点検が行われてきましたが、今後の人手不足に備え、より効率的な方法が求められています。また、目視外での点検業務は、従来の立入管理措置を緩和することで、安全に迅速に行えることが期待されています。これを実現するために、一歩進んだ「レベル3.5飛行」の実証実験が行われたのです。
2. 実証実験の内容
実証実験では、愛知県一宮市から岐阜県羽島市にかけての東海道新幹線トラス橋付近で、ドローンを用いた目視外自動飛行が行われました。この実験では、UTM(無人航空機交通管理システム)や経路逸脱検知機能を活用し、ドローンが指定経路から逸脱せずに運行できるかどうかの検証がなされました。
利用されたのは、トラジェクトリー社製のUTMシステムと、イームズロボティクス社製のドローンです。この目的は、鉄道施設の周囲での安全かつ効果的な点検の実現です。
3. 実験結果の概要
実証実験の結果、ドローンを用いたレベル3.5飛行が安全に運営され、列車が運行される際の十分な距離を確保できることが確認されました。また、目視外飛行による遠隔管理体制についても十分な成果が得られ、今後の実用化に向けた重要なデータが収集されました。JR東海とスカイピークは、今後も点検業務の効率化を目指しさらなる検討を続けていく意向を示しています。
4. 実施体制と協力企業
本実証実験は、JR東海が企画と現場提供を担当し、スカイピークがプロジェクト全体を統括しました。さらに、航空管制システムを提供したトラジェクトリー社、ドローンの製造と改造を行ったイームズロボティクス社、飛行申請支援を行ったバウンダリ行政書士法人といった多くの企業の協力によって進められました。
5. 最後に
今回の実証実験は、未来の鉄道点検業務の在り方を示す重要な一歩となりました。効率的かつ安全な方法で鉄道設備を点検する新たな技術の導入は、鉄道事業のさらなる発展に寄与するでしょう。これからの展開に目が離せません。