中堅社員のキャリア志向に関する意識調査結果を考察

2024年12月に実施された調査によると、中堅社員のキャリア志向には顕著な傾向が見られました。社会人5年目以上で役職がついていない800人の中堅社員を対象にしたこの意識調査では、キャリアに関する理解や志向についての詳細が明らかとなっています。

調査の概要

調査はALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所によって実施され、中堅社員の成長実感やキャリア志向に関するさまざまな側面が分析されました。結果、調査対象者の半数以上がキャリア志向が「ない」あるいは「未定」であり、成長実感の程度に応じて志向が変わることが示唆されました。

ミドルキャリアのキャリア志向

最も多かったのは「特にキャリアについての志向はない」という回答で、全体の35.5%に達しました。一方で、専門領域を極めたいスペシャリスト志向やマネジメントをたゆまず仕切りたいという意向は一部に集中し、全体の2割に満たないことがわかりました。これは、キャリアの明確なビジョンが持てないことが多い中堅社員の状況を映し出しています。

年次別キャリア志向の変化

また、年次別に見ると特に社会人6年目と8年目がキャリア志向のターニングポイントであることが示されています。成長経験が多い場合にはマネジメントやスペシャリスト志向が高まり、逆に成長実感が乏しい場合にはキャリア志向がないと回答する割合が高まることが明らかとなりました。これは、成長がキャリア志向に与える影響の大きさを示しています。

勤続意向とキャリア志向の関連性

さらに、勤続意向とキャリア志向の関係も注目されました。勤続意向が高い中堅社員の多くは、キャリアビジョンがはっきりしている傾向があります。その一方で、離職意向がある人の中ではキャリアの志向が不明瞭な人が多いことが確認されています。

理想の職場文化

調査結果からは、キャリア志向によって異なる理想の職場文化も明らかになりました。マネジメント志向の強い人はチームワークを重視する風土を求める傾向が高く、スペシャリスト志向の人はパフォーマンスを重視する環境を重んじるということが分かりました。このように、キャリアのあり方に応じて求められる職場の文化が変化することも中堅社員の意識に影響を及ぼしているのです。

まとめと今後の展望

調査結果は、中堅社員が今後のキャリアにおいて不安を感じる時期であることを示しています。成長を実感するための機会を設けることや、個々のキャリアデザインをサポートすることが今後の企業に求められているといえるでしょう。一人ひとりのケースに寄り添った支援が中堅社員のキャリア開発にとって重要なポイントとなります。

これらの洞察を基に、企業は中堅社員が達成感を感じられる職場作りや、キャリア発展の支援策の強化に取り組むべきです。