名大発ベンチャーのゼロハーム社が目指す医療の未来
名古屋の未来を担う若き企業、ゼロハーム株式会社が注目を集めています。2026年に、名古屋大学医学部附属病院で開発されたインシデントレポートシステムを商用化する計画が発表されました。このシステムは、医療現場における事故やミスを減少させ、患者の安全を確保するための先進的な取り組みです。
名大病院の独自の取り組み
名古屋大学医学部附属病院は、国内では唯一、国際的な評価機関であるJCI(Joint Commission International)の認証を受けている医療機関です。この病院では、院内で発生したヒヤリ・ハットや医療事故に関するデータを蓄積し、医療の安全性を高めるための研究を行っています。特に、長尾教授を中心とした研グループは、これらのデータをシステム化し、さらにAI技術を駆使して重症度や過失性を数値化するモデルを構築しました。
この取り組みは、2022年12月に「Journal of Medical Systems」に、また2024年には「BMJ Health Care Informatics」に掲載され、高い評価を得ています。長年の研究成果が詰まったこのシステムが、商用化されることで、他の医療機関でも利用することができ、全国的な医療事故防止に寄与することが期待されています。
次世代型インシデントレポートシステム「Zeroharm」
ゼロハーム社が開発を進めるインシデントレポートシステム「Zeroharm」は、名大病院での瓦礫蓄積データを背景にしており、クラウド技術を用いた今までにない医療安全管理システムです。このシステムは、報告しやすさと迅速な分析を両立させており、医療に伴う有害事象(Medical Harm)のゼロ化を目指しています。
「Zeroharm」では、他の病院における導入を目指し、医療現場での報告のしやすさを重視。利用者は、平均で6分程度でレポートを作成することが可能であり、匿名での報告もできるため、心理的ストレスを軽減し、報告文化を促進しています。加えて、AIを活用して報告されたインシデントのリスクや重要度を客観的に計測する機能も備えていて、医療安全管理者のインシデントのトリアージを強力に支援します。
医療の未来とゼロハーム
この新しいシステムは、全国の医療機関が直面する共同の課題、すなわち医療事故の防止に向けた大きな一歩であり、将来的には医療機関間での安全性の比較や事故の予知も可能になることが期待されています。ゼロハーム社は、医療の現場で生まれる「気づき」を活かし、持続的な改善サイクルを行うための仕組みを作っていくことに全力を注いでいます。
名古屋大学とのコラボレーションを経て、ゼロハーム社は更なる技術革新を目指し、医療現場での事故をなくすためのシステムを引き続き進化させていく方針です。これからの医療の発展に、我々も期待を寄せたいと思います。
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