愛知とオランダの水泳教育
2025-12-04 11:15:56

愛知の老舗スイミングクラブがオランダの水泳教育を視察し未来へつなぐ

愛知県岡崎市に拠点を置く岡崎竜城スイミングクラブが、2025年に行われるオランダ・スタディツアーに参加し、世界でもトップクラスの水泳教育システム「Swim ABC」の現場を視察しました。この経験を基に、国内における水泳教育のあり方を再考することが目的です。

日本の水泳教育の現状と課題


最近の日本では、学校プールの老朽化や教員の業務負担の増加、維持管理コストの高騰が影響し、水泳授業の民間委託が進んでいます。しかし、民間の指導施設の数は地域ごとに差があり、一部では水泳教育が受けられなくなる恐れがあるとされています。また、従来のカリキュラムでは、泳法の習得や競技志向が強く、水の事故を防ぐための安全教育が不十分であるとの指摘もあります。

オランダの水泳教育「Swim ABC」の視察


視察先として訪れたアムステルダム周辺のスイミングスクール、Zwemschool Vogel、R&A Sports、Van Der Wal Sportsでは、国家資格制度による水泳教育が実施されていました。「Swim ABC」の特徴は、段階的な学習に基づいており、子どもたちはまず「Diploma A」を取得することで基礎的な泳ぎを学びます。さらに、次の「Diploma B」や「Diploma C」に進むことで、着衣泳や救助スキル、深水での泳法も習得します。

また、授業ではゴーグルやキャップを使用せず、普段の生活に近い環境で学ぶスタイルが取られています。これは「水着でもできることを、着衣でもできること」を基準に設定し、子どもたちが安全に泳ぎを学べるよう工夫されています。さらに、「Diploma B」を取得していない子どもは独りではウォーターパークに入れないといった厳格なルールも設けられています。これにより、オランダではなんと国民の90%以上が泳げるという状況が実現しているのです。

大使館での報告と国際連携の可能性


視察から帰国後、岡崎竜城スイミングクラブはオランダ大使館を訪問し、視察内容を報告しました。ここでは、副大使のロブ・アンデルセン氏や元国際パラリンピック委員会理事のリタ・ファン・ドリエル氏から、双方の国での水泳教育の重要性についての意見交換が行われました。アンデルセン氏は「オランダと日本は共通の水害を経験しており、水泳が外交の手段となり得る点には興味深い」と述べ、リタ氏は「日本での安全水泳に関する取り組みは意義深く、変化に繋がる」とコメントしました。このように、両国の水泳教育の連携が期待されているのです。

今後の展開と目指すべき水泳教育


岡崎竜城スイミングクラブでは、すでに通常カリキュラムに着衣泳を導入し、地域の子どもたちに「命を守る水泳」を広めてきました。今後は、日本における水泳教育を「災害対策の基盤」と位置付け、以下の取り組みを進めていく予定です:

  • - オランダ式の安全水泳教育を取り入れたカリキュラムのアップデート
  • - 学校や自治体と連携し、学校での水泳授業の再定義
  • - 水害リスクが高い地域向けに特化した安全水泳モデルの構築
  • - 日蘭間での安全水泳教育に関する共同プロジェクトの企画

最終的には、日本における水泳教育を「命を守る社会インフラ」として価値を高めていくことが狙いです。今後の活動に大いに期待が寄せられています。


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