ISATE2025が豊田で開催
愛知県豊田市に位置する豊田工業高等専門学校(豊田高専)が主催する第18回国際工学教育研究集会(ISATE2025)が、2025年9月9日から12日の4日間にわたって開催されました。本集会は、世界各国からの専門家を集め、「Bridging Borders: Engineering Education for Global Citizenship(国境を越えてつなぐ:グローバル市民を育成する工学教育)」をテーマに掲げています。
国際的な交流の場
ISATE2025では、合計183名の参加者が集まり、教育現場における新たな取り組みや視点が議論されました。オープニングセレモニーでは華やかな開会の挨拶が行われ、続いて行われた基調講演では、Burton and South Derbyshire Collegeの校長、John Beaty氏が登壇し、教育の未来についての洞察を共有しました。
午後には、各国の教育機関や研究者からのプレゼンテーションに加え、ポスター発表を通じて、多様な教育アプローチが紹介されました。特に、日本の高専が持つ独自の教育哲学と実績は、他国の参加者にとっても興味を引くものでした。また、地元の松平太鼓による演奏も行われ、参加者全員が一緒に演奏することで、国際的な友情と交流が深まりました。
論文発表会を通じての知見の共有
ISATE2025では、参加者が別々のサブテーマに分かれた発表会で意見を交わしました。テーマは、「授業改善に関する研究」、「AIを活用した教育手法」、「国際共同教育プログラムに関する研究」、「持続可能な教育や地域社会との連携教育」など、多岐にわたり、現代教育における課題についても熱心な議論が行われました。特にAIを活用した教育手法の発表は、人工知能による教育の新たな可能性について多くの関心を集めました。
ワークショップやラウンドテーブルでの経験交換
さらに、ワークショップでは、参加者が「ファシリテーションによる学習効果」と「ゲームベース学習による教育の楽しさ」について話し合い、教育現場での導入方法やその効果測定について幅広い意見が交わされました。ラウンドテーブルでは、特に「CDIOと高専カリキュラムの接続可能性」や「生成AIを活用した教育デザイン」というテーマが注目を浴び、国際的な教育モデルの構築に向けた具体的な方向性が示されました。
教育の未来に向けて
ISATE2025は、過去最大規模の集会となり、新たな教育手法の探求と国際的なネットワークの強化で大きな一歩を踏み出しました。また、ICTやAIを活用した教育実践に関する研究成果は、これからの工学教育に多大な影響を与えるものと考えられます。
豊田工業高等専門学校について
豊田高専は1963年に設立された高等専門学校で、技術者を目指す学生に実践的な教育を提供しています。校長の阿波賀邦夫氏が指導し、数学や英語、専門技術を重視したカリキュラムが特徴です。卒業生の多くは国立大学へ進学し、業界で高い評価を受けています。
今後、製造業やIT産業など様々な分野で活躍する卒業生たちが、ISATE2025で得た経験をもとに国際的な舞台で活躍することが期待されます。教育の未来を形作る重要な機会となったISATE2025は、これからの国際的な教育交流のモデルケースになることでしょう。