新しい地震対策技術
2025-12-04 14:59:31

住友理工が新開発した高耐力制震システムが地震対策の新基準を提示

住友理工が開発した高耐力制震システム



住友理工株式会社は、地震対策に革新をもたらす新製品「高耐力制震システム」を発表しました。これは、国土交通大臣の認定を受けた、業界トップクラスの「壁倍率5.0倍」という驚異的な耐力を持つ製品です。この技術は、住友理工が20年以上にわたって続けてきた研究開発の成果であり、安全で安心できる住環境を実現するための重要な一歩です。

高性能摩擦材料の特長



この新しい制震システムは、高性能の摩擦材料を活用しています。この材料には二つの重要な特性があります。まず一つ目は、温度依存性が低い点です。この材料は、0℃から40℃の幅広い温度範囲で安定した性能を発揮でき、地域や設置環境にかかわらず安心して利用できます。これにより、異常気象や地域特有の気候条件に左右されない、均一な性能が確保されています。

二つ目の特長は、速度依存性が小さいという点です。地震による衝撃が急激に伝わる場合でも、ゆっくりと伝わる場合でも、常に安定した性能を保つことができる特性を持ちます。これによって、直下型地震や海溝型地震のように異なるメカニズムで発生する揺れにも適切に対応できるのです。

商品の販売開始と導入計画



住友理工では、この新システムの一般販売を2026年秋から開始する予定です。主に在来軸組工法住宅への導入を目指し、より多くの家庭がこの高耐力制震システムを利用できるよう促進していきます。

これまで住友理工は、2009年から木造住宅用TRCダンパーを販売し、国内外で70,000棟以上の住宅に設置してきました。その結果、2024年の能登半島地震の際には、TRCダンパーを採用した住宅では全壊や半壊が確認されていませんでした。このデータは、住友理工の製品がいかに信頼性が高いかを示すもので、今後の地震対策に対する期待が高まります。

自然災害への備えと環境意識



さらに、近年の自然災害の増加や、政府による新たな防災対策の提言も、地震対策の重要性を再認識させています。内閣府が発表した「南海トラフ地震の新しい被害想定と実施すべき防災対策」では、最大規模の地震や津波に備えるための対策が急務とされており、住友理工もこの流れに対応する形で新製品の開発に着手しました。

加えて、環境面でも2025年の建築基準法改定により、環境適応の重要性が増しており、ゼロエネルギーハウスの普及が進んでいます。このトレンドに伴い、建物の重量が増加し、制震システムにはより大きな耐力が要求されるようになりました。住友理工はこの変化を踏まえ、自社の技術を進化させ、これからの市場ニーズに応えられる製品を提供していく方針です。

住友理工のビジョン



住友理工は、「理工の力を起点に社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続けるリーディングカンパニー」となることをミッションに掲げています。自然災害に対する技術力を進化させ、安全と安心を社会に提供することが、その実現に向けた大きな役割を果たすと考えています。

住友理工の新しい高耐力制震システムは、これからの地震対策のスタンダードとなり、多くの家庭の安全を支えることでしょう。今後の開発と普及に期待が寄せられます。

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