中古車市場の流通動向と仕入れの難しさ
2025年9月、名古屋を拠点とする株式会社ファブリカコミュニケーションズが運営する中古車情報サイト「車選びドットコム」が発表した情報によると、中古車市場は注目のデータを示しています。このレポートは、2025年の新車および中古車の登録台数についての分析を基にしています。
 中古車登録の動向
2025年8月から9月にかけて、新車の登録台数は142.2%、中古車は118.5%と両者とも増加したことが確認されました。特に新車は、毎年のように8月から9月にかけての増加傾向が見受けられます。一方で、中古車も同様に増加が続いており、前年同月と比べると106.7%に達しました。
昨年夏には新車不足の影響もあり、中古車の流通量が減少していましたが、その反動で今年は逆に在庫が増えた形です。データを振り返ると、2025年9月の中古車登録台数は547,288台で、例年の夏季から秋にかけての上昇が見られます。
 中古車の需要と供給
一方で、中古車市場の裏では深刻な仕入れ難があることに注意が必要です。流通する中古車は主に高年式や人気車種に偏っていますが、これには背景が存在します。新型コロナウイルスの影響で新車の販売が落ち込み、5年落ちの車両供給が構造的に減少しているためです。それに加え、円安が続いて輸出需要が高まったことも影響しています。
このような市場環境下では、販売店が仕入れやすい価格帯の車両が不足し、流通量が増加しているにもかかわらず、仕入れが困難という矛盾した状況が生じています。この動きが中古車相場を高値で推移させているため、中小取引業者は在庫確保に苦しんでいます。
 オークション市場の変化
中古車オークション市場では、出品台数の増加と共にデジタル化が進んでいます。USSが発表したデータによると、2025年度上期の出品台数は前年同期比で15.9%増加し、過去最高を更新しました。このデジタル化により、出品の効率が向上し、より多くの車両が取引されやすくなっています。
ですが、人気車や高年式車に対する需要が集中しているため、逆に成約率は昨年を下回る65.6%に留まっています。成約単価は依然として高水準の120.8万円を維持しており、需要と供給のバランスが崩れる中、価格が安定しない状況です。
 先行きの見通し
全体的に、中古車市場は流通量の増加と価格が高止まりするという二重の動きが見られます。特に人気車種の価格は引き続き高く、需要の低い車両に関しては価格が下落しているのが目立ちます。また、最近のデータでは、中古車販売店の倒産件数が前年の1.5倍に達し、仕入れの難しさや資金繰りの悪化が問題視されています。
今後も為替の動向や輸出状況に注意が必要であり、効率的な在庫管理と仕入れ判断が安定した販売店経営における重要な要素となるでしょう。「車選びドットコム」は、こうした市場の変化を常に分析し、加盟店に向けた詳細なデータレポートも提供しています。データをフル活用して、柔軟な経営判断を行うことが求められています。
 
