部下育成の新たな課題
管理職が抱える部下育成に関する課題を掘り下げた調査が行われ、特に評価やフィードバックに関して注目すべき結果が得られました。この調査は、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所の協力により実施され、531名の管理職を対象に実施されました。
若手社員の離職問題
近年、若手社員の早期離職が社会的な問題となっており、管理職からは「育てた部下がすぐ辞めてしまう」という声が多く聞かれます。この状況を反映するように、調査に応じた人事担当者の80%以上が「管理職の部下育成力」に課題を抱えていると述べています。
特に評価に関しては、従来の勤続年数に基づくやり方から、役割や成果に基づく評価体系への移行が急務とされています。このため、評価の公平性や透明性が欠如している企業では、優秀な人材の流出リスクが高まっています。これを受け、本調査では、管理職の実態を評価、フィードバック、離職防止といった側面から探求しました。
調査の結果
1. 評価の難しさ
管理職が部下を評価する際に最も感じる課題の一つは、「チーム内で極端な評価をつけることをためらう」というもので、これが27.9%を占めました。
次いで、評価時に「一人一人に十分な時間をかけられない」との回答が27.0%、直近の状況に引きずられるという課題が25.2%の評価を得ました。
2. ステージ別の課題
新任管理職とベテラン、幹部候補それぞれに分けて見たところ、新任管理職は「部下に嫌われたくない」との理由から、評価を避ける傾向が顕著でした。一方、幹部候補は、極端な評価を避けることに際して現状よりもバランスを重視する姿勢が見られました。
フィードバックへの躊躇
新任管理職では、フィードバックを行うことに躊躇する理由として、54.2%が「部下の反応に対する不安」を挙げました。この数字は他ステージと比較しても高く、彼らがフィードバックをためらう背景には、自身の言動がもたらす影響への懸念があると考えられます。
部下の理解が不可欠
適切な評価を行うためには部下を理解することが不可欠です。調査結果によると、各ステージで理解が高いと思われる点は異なるものの、業務領域や成果に重よる場合が多かったです。しかし、幹部候補は短所や行動についての把握が高い傾向があり、長期的な育成視点が見受けられました。
離職防止の取り組み
部下への離職防止策については、ステージを問わず「業務量の負荷調整」や「感謝の言葉」が多くの管理職に支持されていました。特に新任管理職では、日々のコミュニケーションを通じた信頼構築に努めている様子がうかがえます。
結論
本調査を通じて、管理職が抱える評価やフィードバックの課題、その背景にある心理を明らかにしました。評価における適切さや極端な評価へのためらいは、部下との信頼関係に基づくものであることが示されています。企業は、このような課題への取り組みを支援する制度や研修を整えることが求められるでしょう。
今後、この調査結果をもとに各企業が評価やフィードバックの質を向上させ、部下育成を促進していくことが期待されます。