倉俣史朗の名作「HAL」シリーズが21世紀によみがえる
2025年10月16日、カッシーナ・イクスシーはIXCの新作コレクションとして、倉俣史朗がデザインした「HAL2」チェアとテーブルの復刻を発表します。この発表は、IXCブランド創立50周年を祝う一環として行われ、テーマは“Emotional Minimalism(エモーショナル・ミニマリズム)”。
IXCと倉俣史朗の出会い
インテリアデザイナーの倉俣史朗は、その独自の感性と創造性で多くの支持を集めました。彼の作品は単なる家具ではなく、アートとしての価値を持つものばかり。カッシーナ・イクスシーの創始者である武藤重遠氏も、彼のデザインに強く心を惹かれ、商品化を提案しました。
このような背景から1989年、倉俣のアイデアと情熱が息づく「HAL2」チェアとテーブルが誕生しました。倉俣の作品を広めるため、六本木のAXISビル全フロアを利用した大規模な展覧会も行われました。
HAL2チェアの魅力
「HAL2」チェアの特筆すべき特徴は、背もたれに使われているエキスパンドメタル(網状金属)。これにより、見た目は軽やかでありながら、強度も兼ね備えています。さらに、このチェアはミニマルなスチールフレームにOSBボードとクッションシートを組み合わせ、座り心地の良さも実現しています。
このようなデザインは、倉俣が追求した“かたちと詩情の融合”そのものであり、使われる環境によって異なる表情を見せる彫刻のような佇まいが魅力。今日でも、デザイン愛好家たちを魅了し続けています。
HAL2テーブルの特徴
「HAL2」テーブルは、同じく倉俣がデザインしたOSBボードを天板に使用し、その温もり溢れるランダムなテクスチャーがシンプルなフォルムに生命を吹き込んでいます。脚部には光沢のあるクロムめっき仕上げが施され、鋭さを際立たせます。特に床面に向かって交差するデザインの脚がこのテーブルの大きな特徴で、軽快さと安定感を両立させています。
その直径は600mmとコンパクトで、カフェテーブルやサイドテーブルとしても活用でき、現代のライフスタイルに自然にフィットします。倉俣が追求してきた“機能と詩情の融合”を日常生活で体感できる作品として、アートの存在感をもっています。
倉俣史朗の影響力
倉俣史朗は1934年に東京で生まれ、桑沢デザイン研究所で学んだ後、1965年に自身のデザイン事務所を設立しました。彼の作品は、アクリル、ガラス、金属メッシュといった革新的な素材を使用し、多くの人々に衝撃を与えました。1980年代にはイタリアのデザイン集団「メンフィス」にも参加し、そのシンプルで美しいデザインは世界的に評価されています。
彼の作品は、今もなお多くのクリエイターに影響を与え続けており、その詩的で幻想的な世界観は、これからのデザインにも引き継がれていくことでしょう。
展示の詳細
今回の復刻版「HAL2」シリーズは、2025年10月から青山本店、名古屋店、大阪店、福岡店で展示される予定です。新たな感性とともに、世代を超えた美しさを体験できる貴重な機会です。ぜひこの機会をお見逃しなく。