中部エリアの建設人材不足、2030年には約5万人が不足へ

中部エリアの建設人材不足の現状

近年、中部エリアにおける建設技術者と技能工の人材不足が問題視されています。ヒューマンリソシア株式会社の調査によれば、2030年には約5万人、2040年には最大10.3万人が不足すると試算されています。この状況は、地域の建設業界への深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。

技術者と技能工の需給ギャップ

調査によると、建設業界の技術者は2030年頃から不足が徐々に解消される見込みですが、それまでの間は人材不足が続くと予想されています。2020年の中部エリアにおける技術者の供給数は4.9万人でしたが、2030年には6.0万人、2040年には6.8万人へと増加が見込まれています。この増加の要因には、新卒の就職者の増加や高齢者離職の相対的に低い割合が挙げられます。

一方、建設技能工については、供給数が続けて減少し、2040年には22.9万人にまで落ち込む見通しです。これに対し、必要とされる人数は30.8万人から33.2万人へと増加するため、需給ギャップは拡大します。結果として、2030年には5万人、2040年には10.3万人の技能工が不足するとされています。

人材確保の課題

中部エリアの建設業界は、技術者不足が徐々に解消される一方で、技能工の確保が極めて困難になるとの見解が示されています。特に、技能工の需給ギャップは関東・近畿と比較しても大きく、31.0%に達する可能性があるため、業界全体に多大な影響を与えることが懸念されます。

調査では、施工管理人材の不足は将来にわたって拡大するとの見方が約6割に上り、技能工においても同様に約7割の企業が不足は拡大すると予測しています。これらの結果から、採用強化や待遇改善はもちろん、海外からの人材の積極的な受け入れや生産性向上に向けたDX推進が急務であることが明らかです。

今後の展望

建設業界の人材確保は今後さらに困難になる可能性があります。このため、企業は新卒採用の拡充や流動的な人材の採用政策を見直し、積極的に人材を確保することが重要です。また、技能工の不足が予想されるため、労働力人口が減少する中での戦略的なアプローチが求められます。さらに、多様な働き方を支持する環境作りや労働条件の見直しも必要です。地域の建設業界が持続可能な発展を遂げるために、関係者が連携して対策を講じることが求められています。

総じて、中部エリアにおける建設技術者及び技能工の人材不足は、未来の建設業を左右する重要な課題です。企業は、この問題を真摯に受け止め、抜本的な改革を進める必要があります。