新たなる自動車塗装の未来:型内塗装技術の革新
愛知県豊田市に本社を置く内浜化成株式会社と、大阪府に本社を構える日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(NPAC)が、次世代自動車塗装技術「型内塗装」を共同開発しました。この技術は、国内で初めての試みとなるもので、熱可塑性樹脂製の大型外装部品向けに特化しています。
型内塗装技術とは?
型内塗装は、樹脂成形と塗装工程が一体化された革新的な方法です。従来のスプレー塗装では、樹脂成形後に別のブースで塗装が施され、さらに乾燥工程が必要でした。しかし、型内塗装では、金型内で成形と塗装が連続して行われるため、乾燥炉が不要となります。この結果、工程の短縮とCO2排出量の60%削減を実現できるのです。
環境への配慮
型内塗装に利用される塗料は、NPACが開発した無溶剤型のもので、VOC(揮発性有機化合物)含有量を極力抑えています。具体的には、1リットルあたり4グラム以下という驚異的な低VOCを実現しており、環境への影響を最小限に抑えています。さらには、従来の塗装方法と同等の品質を維持しつつ、作業環境の改善にも寄与しています。
デザインの可能性
型内塗装の大きな特徴としては、高い表面平滑性と意匠再現性があります。スプレー塗装に比べ、型内塗装では塗膜形成のために金型転写が行われるため、非常に精密なデザイン加工が可能です。例えば、ナノレベルの微細な凹凸を用いた虹色の発色や独特な幾何学模様、エンボス加工など、従来のスプレー塗装では困難だったデザインが実現可能となります。
この技術は、自動車メーカーにとって新たなデザインの選択肢を広げるものです。未来の自動車デザインには、より細かいディテールや新しい表現方法が盛り込まれることでしょう。
開発の背景
持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みが進む中、自動車業界でも環境負荷を低減するための新たな技術が求められています。内浜化成とNPACは、塗料の性能向上と生産性を最大限に引き出す方法を模索し、数年間の試行錯誤を経て、この型内塗装技術の確立に至りました。今後は、各自動車メーカーへの技術提供を進め、量産車への適用を目指していきます。
結論
新たに登場した型内塗装技術は、環境に優しく、かつ高品質な自動車の製造を可能にする画期的な手法です。この技術により、自動車デザインの幅が広がり、我々の未来の移動手段がどのように変わるのか、非常に楽しみです。内浜化成とNPACの取り組みは、今後の自動車製造の新しいスタンダードとなることでしょう。